FP2級の計算問題が苦手|捨てていい問題と先に覚える7つの型
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FP2級の過去問で、計算問題に来ると手が止まる。3級では何とかなったのに、2級は式が長くて解説を読んでも追いつかない。この記事は、そんな社会人が計算問題とどう付き合うかに答えます。
結論を先に書きます。FP2級の学科は60問中36問の正解で合格なので、計算問題を全部解けるようにする必要はありません。 ただし、2級で新しく増える計算のうち、式が1〜2本で終わる「7つの型」は先に覚えたほうが得点に結びつきます。相続税の総額のように段階の多い計算は、7つの型が固まってから手を付ければ間に合います。
最終確認日:2026-10-21。試験時間・合格基準・税の数字は日本FP協会と国税庁の公式ページで確認した内容です。制度は変わることがあるため、受検前に公式サイトで最新をご確認ください。
計算を全部解かなくても受かる理由
FP2級の学科は60点満点で36点以上が合格です。24問まで落としても合格ラインに届きます。日本FP協会の試験要綱で確認した試験の形は次のとおりです。
| 項目 | 学科 | 実技(日本FP協会:資産設計提案業務) |
|---|---|---|
| 試験時間 | 120分 | 90分 |
| 問題数 | 60問(多肢選択式) | 40問(多肢選択式と記述式) |
| 合格基準 | 36点以上(60点満点) | 60点以上(100点満点) |
| 受検手数料(非課税) | 5,700円 | 6,000円 |
学科は制度や用語の正誤を問う問題が中心で、計算が必要な問題は一部です。暗記で点を積めば、計算の重い問題を落としても合格点に届く作りになっています。
実技は事情が違います。資産設計提案業務は、キャッシュフロー表・係数・保険・税金の計算が繰り返し出ます。計算をまるごと捨てると、実技の60点に届きにくくなります。 捨てるのは段階の多い重い計算だけにして、式の短い計算は拾う線引きが現実的です。
2級で計算が急に重くなるわけ
3級との違いは、計算の種類が増えることと、1問の中で式をつなげる場面が増えることです。
3級の計算は、係数の掛け算や基礎控除の足し算など、式1本で終わる問題が中心でした。2級では、次のような計算が新しく加わります。
- 株価と利益から投資の指標を出す
- 円を外貨に替えて預け、円に戻したときの利回りを出す
- 土地の譲渡所得と税額を出す
- 所得をまとめて損益通算し、総所得金額を出す
- 相続税の総額を、法定相続分で分けて出す
3級の計算に自信がない人は、先にFP3級の計算問題の7つの型で係数とキャッシュフロー表を固めてください。2級の実技でも、係数とキャッシュフロー表は同じ式でそのまま出ます。
先に覚える計算の7つの型
拾うべきなのは、式が1〜2本で完結する問題です。次の7つは例題を1回手で解けば、本番でも同じ手順で答えが出ます。
型1:係数と住宅ローンの返済額
係数の問題は、3級と同じく「どの係数を掛けるか」で決まります。2級では住宅ローンの返済額や、老後資金の取り崩しの形で出ることが多いです。
例題:3,000万円を年利1%・25年で借りたときの毎年の返済額は、資本回収係数(1%・25年)を掛けて求めます。問題文で係数が0.0454と示されていれば、3,000万円×0.0454=136.2万円です。
「今ある元本を毎年いくらずつ」という形なら資本回収係数、「毎年いくら積み立てれば将来いくら」なら減債基金係数です。係数の表は問題文に載るので、数値を覚える必要はありません。
型2:株式の投資指標
株式の指標は、5つの式を覚えれば割り算1回で答えが出ます。
| 指標 | 式 |
|---|---|
| PER(株価収益率) | 株価÷1株あたり純利益 |
| PBR(株価純資産倍率) | 株価÷1株あたり純資産 |
| ROE(自己資本利益率) | 純利益÷自己資本×100 |
| 配当利回り | 1株あたり配当金÷株価×100 |
| 配当性向 | 配当金÷純利益×100 |
例題:株価1,500円・1株あたり純利益100円・1株あたり純資産1,000円・1株あたり配当金30円の会社です。
- PER:1,500円÷100円=15倍
- PBR:1,500円÷1,000円=1.5倍
- 配当利回り:30円÷1,500円×100=2%
- 配当性向:30円÷100円×100=30%
**配当利回りは「株価で割る」、配当性向は「利益で割る」**と分母で区別します。名前が似ているので、ここを取り違える問題がよく出ます。
型3:外貨預金の円換算利回り
外貨預金の計算は、預けるときと戻すときで使う為替レートが違う点さえ押さえれば解けます。円を外貨に替えるときはTTS、外貨を円に戻すときはTTBを使います。
例題:1万ドルを1年預け、利率は年5%です。預けるときのTTSは151円、満期時のTTBは149円とします(税金は考えません)。
- 預けた円:1万ドル×151円=151万円
- 満期の外貨:1万ドル×1.05=10,500ドル
- 戻した円:10,500ドル×149円=156.45万円
- 円換算の利回り:(156.45万円−151万円)÷151万円×100=約3.61%
外貨の利率は5%でも、円で見ると約3.61%に下がります。TTSとTTBを逆に使うミスが典型なので、「銀行が得をする向きのレート」と覚えると間違えません。
型4:建ぺい率の緩和と2つの用途地域
2級の不動産では、建ぺい率の緩和と、敷地が2つの用途地域にまたがる計算が出ます。
建ぺい率が10%加算される主な場合は次のとおりです。
- 特定行政庁が指定する角地
- 防火地域内の耐火建築物等(指定建ぺい率80%の地域以外)
- 準防火地域内の耐火建築物等・準耐火建築物等
指定建ぺい率80%の地域で、防火地域内に耐火建築物等を建てる場合は、建ぺい率の制限がかかりません。
敷地が2つの用途地域にまたがるときは、それぞれの面積に率を掛けて足します(加重平均)。
例題:敷地300㎡のうち200㎡が建ぺい率60%の地域、100㎡が建ぺい率80%の地域です。
- 200㎡×60%=120㎡
- 100㎡×80%=80㎡
- 建築面積の上限:120㎡+80㎡=200㎡
広いほうの地域の率を敷地全体に当てはめるミスが出題の狙いどころです。容積率も同じく面積ごとに計算して足します。覚える数字が多いと感じる人は、FP2級の不動産が苦手な人の順番で整理してから戻ってください。
型5:土地・建物の譲渡所得
土地や建物を売ったときの税金は、2本の式で求めます。
- 譲渡所得=譲渡価額−(取得費+譲渡費用)
- 税額=譲渡所得×税率
税率は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで変わります。国税庁の資料によると次のとおりです。
| 区分 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税を含む合計 |
|---|---|---|---|
| 長期(5年超) | 15% | 5% | 20.315% |
| 短期(5年以下) | 30% | 9% | 39.63% |
取得費が分からないときは、譲渡価額の5%を取得費にできます(概算取得費)。
例題:10年前に相続した土地を5,000万円で売り、取得費は不明、譲渡費用は150万円です。
- 概算取得費:5,000万円×5%=250万円
- 譲渡所得:5,000万円−(250万円+150万円)=4,600万円
- 税額:4,600万円×20.315%=約934万円
所有期間は「売った日」ではなく「売った年の1月1日」で数える点が問われます。自宅を売った場合は、譲渡所得から3,000万円の特別控除を引く形でも出ます。
型6:損益通算と一時所得
損益通算は、通算できる赤字とできない赤字を分けられれば解けます。国税庁のタックスアンサーによると、他の所得と通算できる損失は次の4つです。
- 不動産所得
- 事業所得
- 譲渡所得
- 山林所得
不動産所得の赤字のうち、土地を買うための借入金の利子にあたる部分は通算できません。
例題:給与所得600万円、一時所得の金額50万円の人です。不動産所得は200万円の赤字で、うち50万円は土地を買うための借入金の利子です。
- 通算できる不動産所得の赤字:200万円−50万円=150万円
- 総所得金額に入る一時所得:50万円×1/2=25万円
- 総所得金額:600万円−150万円+25万円=475万円
一時所得の金額は「収入−支出−特別控除50万円」で出し、総所得金額に入れるときに1/2にします。1/2を掛け忘れるミスと、特別控除を引き忘れるミスの2つがよく狙われます。タックスプランニング全体の覚え方はFP2級のタックスプランニングが苦手な人の順番にまとめています。
型7:死亡保険金の非課税と相続税の基礎控除
相続の計算は、法定相続人の数を正しく数えられるかで決まります。国税庁のタックスアンサーによると、式は次の2本です。
- 死亡保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
- 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
例題:配偶者と子2人が相続人で、配偶者が受け取った死亡保険金が2,000万円の場合です。
- 非課税限度額:500万円×3人=1,500万円
- 相続税の対象になる保険金:2,000万円−1,500万円=500万円
- 基礎控除額:3,000万円+600万円×3人=4,800万円
養子は、実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人まで人数に入れます。相続を放棄した人も、放棄がなかったものとして人数に含めます。放棄した人を数から外すミスは、2級でも繰り返し出題されます。
FP2級 | 計算問題の優先順位
先に覚える型と後回しにする計算
式が1〜2本で終わるものから拾う
| 式の数 | 取り違えやすい点 | 優先度 | |
|---|---|---|---|
| 係数・投資指標・外貨預金 型1〜型3 | ○ 式1本 | △ 分母とレートの向き | ○ 最初に覚える |
| 建ぺい率・譲渡所得 型4・型5 | ○ 式1〜2本 | △ 面積の分け方と所有期間 | ○ 早めに覚える |
| 損益通算・保険金の非課税 型6・型7 | △ 式2〜3本 | △ 通算できない赤字と人数 | ○ 早めに覚える |
| 相続税の総額・年金額など 後回しの候補 | × 段階が多い | △ 速算表や例外が多い | △ 7つの型の後 |
- ※優先度は合格ライン6割を前提にした学習順の目安です。税の数字は受検期間の法令基準日の数字で確認してください
コツコツ資格
後回しにしてよい計算問題
後回しにしてよいのは、段階が多い計算と、例外の多い計算です。時間をかけても1点にしかならないため、7つの型を固めるほうが先です。
後回しの候補は次のとおりです。
- 相続税の総額を、法定相続分で分けて速算表を当てて出す問題
- 老齢年金の受給額を、加入月数や報酬から計算する問題
- 法人税や減価償却で、複数の調整を重ねる問題
- 小規模宅地等の特例で、減額される金額を出す問題
相続税の総額は、型7の後に続く計算です。例として、相続税の課税価格の合計が1億2,000万円、相続人が配偶者と子2人の場合を見ます。基礎控除4,800万円を引いた7,200万円を法定相続分で分け、国税庁の速算表を当てます。
| 相続人 | 法定相続分の取得金額 | 速算表の計算 | 税額 |
|---|---|---|---|
| 配偶者(1/2) | 3,600万円 | ×20%−200万円 | 520万円 |
| 子A(1/4) | 1,800万円 | ×15%−50万円 | 220万円 |
| 子B(1/4) | 1,800万円 | ×15%−50万円 | 220万円 |
相続税の総額は520万円+220万円×2=960万円です。手順は4段階あり、速算表の数字も必要になります。7つの型で正答率が安定してから取りかかる順番で十分です。
本番で後回しの種類の問題に当たったら、30秒考えて式が浮かばなければ選択肢を1つ選んで先へ進みます。学科は120分で60問なので、1問あたり2分が上限です。
税の数字は改正で動くことがあります。2026年6月から2027年5月までの試験は、2026年4月1日時点の法令が基準です(日本FP協会の試験日程ページ)。国税庁の資料では、復興特別所得税の扱いが2027年分以降に変わる予定です。受検する期間に合った年度のテキストで数字を確かめてください。
CBTの計算機に慣れておく
FP2級もCBT方式(会場のパソコンで解く方式)で、自分の電卓は持ち込めません。 日本FP協会の試験要綱によると、計算問題は試験画面に表示される計算機を使えます。メモ用紙と筆記用具はテストセンターで貸し出されます。
本番で慌てないために、練習の段階から次の2点をそろえます。
- 計算問題は、パソコンの計算機アプリをマウスで押して解く
- 途中の数字はメモ用紙に書き出し、式の段階ごとに区切る
型5や型6のように式が2〜3本ある問題は、途中の数字を書き出さないと入力し直しになります。1問の計算に何分かかるかを練習で測っておくと、本番の時間配分が読めます。当日の流れはFP2級 CBT試験の当日の流れで確認できます。
働きながら3週間で計算を固める進め方
計算問題だけを集中して固めるなら、平日30分・休日1時間半で3週間が1つの目安です。前提知識で必要な時間は変わるため、正答率を見ながら延ばします。
| 時期 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1週目 | 型1〜型3(係数・投資指標・外貨預金)の例題を手で解く | 1日5問 |
| 2週目 | 型4〜型7(建ぺい率・譲渡所得・損益通算・相続)を解く | 1日4問 |
| 3週目 | 過去問の計算問題だけを抜き出して解き、間違えた型に戻る | 1日1回分 |
1週目と2週目は、同じ型の問題を3回続けて解きます。3回目に解説を見ずに正解できたら、次の型へ進みます。3週目は過去問で出た計算問題を型ごとに分け、正答率の低い型だけを解き直します。
解説を読んでも分からないとき
解説が理解できないときは、計算の問題ではなく制度の知識が足りないことが多いです。たとえば損益通算が解けない原因は、所得の10種類の区別があいまいなことにあります。計算の前に、その分野のテキストの該当ページを読み直します。相続の計算ならFP2級の相続・事業承継が苦手な人の順番で、人数の数え方から整理できます。
独学で計算が進まない人の選択肢
計算問題は、解説の文章だけでは手順が追いにくい分野です。次の状況にあてはまる人は、金融資格向けのeラーニングで解き方の流れを見る方法もあります。
- 過去問の解説を読んでも、式のつながりが分からない
- 型ごとの練習問題を自分で集める時間がない
- 通勤時間などのすき間にパソコンやスマホで学びたい
一方で、テキストの例題を手で解けば理解できる人は、独学で足ります。講座を足す前に、1週目の正答率で判断してください。
よくある質問
計算問題を全部捨てても受かりますか
学科だけなら、計算を捨てても暗記問題で36点に届く可能性はあります。ただ、実技は計算の比重が大きく、全部捨てると60点に届きにくくなります。7つの型だけは拾う前提で計画してください。
税率や控除の数字は暗記が必要ですか
譲渡所得の税率や基礎控除の式は、問題文に書かれない前提で覚えておきます。係数の表や相続税の速算表は、問題文に資料として載る形で出ることがあります。覚える数字と覚えなくてよい数字を分けると、暗記の量が減ります。
3級の計算もあやしいのですが、2級から始めて大丈夫ですか
係数とキャッシュフロー表が解けない状態で2級の計算に入ると、型1でつまずきます。先に3級の計算の型を1週間で復習してから、2級の型2以降に進むほうが早く終わります。
実技はFP協会ときんざいのどちらが計算が少ないですか
科目によって出る分野が変わるため、計算の量も違います。どの科目を選ぶかはFP2級の実技の選び方で、自分の得意分野と照らし合わせて決めてください。
まとめ
FP2級の計算問題は、全部を解けるようにする必要はありません。
- 学科は60問中36問で合格。暗記問題で点を積み、計算は式の短いものから拾う
- 先に覚えるのは、係数・投資指標・外貨預金・建ぺい率・譲渡所得・損益通算・保険金の非課税の7つの型
- 相続税の総額や年金額は、7つの型が固まってから取りかかる
- 練習から画面上の計算機を使い、途中の数字はメモ用紙に書き出す
今日は型2の株式の投資指標から、例題を1問手で解いてみましょう。割り算1回で答えが出るので、計算への苦手意識を崩す最初の1問に向いています。
あわせて読みたい
参考にした情報
- 日本FP協会「2級・3級試験要綱」「試験日程」(jafp.or.jp・2026-10-21確認)
- 国税庁タックスアンサー No.2250 損益通算・No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金・No.4155 相続税の税率(令和8年4月1日現在法令等・2026-10-21確認)
- 国税庁「暮らしの税情報」土地や建物を売ったとき(長期・短期の税率と概算取得費・2026-10-21確認)
※本記事は情報提供を目的としたもので、試験の合格や学習の成果を保証するものではありません。試験制度・料金は変更される場合があるため、受験前に必ず公式サイトでご確認ください。