FP2級の相続・事業承継が苦手|覚えられない人の4つの順番
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FP2級の相続・事業承継が苦手な人は、民法のルールと税金のルールを混ぜて覚えています。「法定相続人の数」は民法と相続税で数え方が違い、贈与の「110万円」は2つの制度に出てきます。
相続・事業承継は「民法」「相続税」「贈与税」「財産評価」の4つに分け、この順に覚えると混ざりません。 テキストの最後の章なので時間切れになりやすい分野ですが、出る論点はほぼ決まっています。
この記事では、4つの分け方と各パートで落とせない数字、4週間の立て直し手順を順にまとめます。
覚えられない原因は民法と税金の混同
相続・事業承継で止まる原因は、同じ言葉が民法と税法で別の意味を持つことです。民法は「誰が・どれだけ相続するか」を決めるルールです。相続税法は「いくら税金がかかるか」を決めるルールです。
混ざりやすい例は次の3つです。
- 法定相続人の数:民法では相続放棄をした人は相続人ではない。相続税の基礎控除の計算では、放棄した人も数に入れる
- 養子の数:民法では養子は何人でも相続人になる。相続税の計算では、実子がいれば1人、いなければ2人までしか数えない
- 110万円:暦年贈与の基礎控除と、相続時精算課税の基礎控除の両方に出てくる
もうひとつの原因は、学習の順番です。多くのテキストで相続・事業承継は最後の6章目にあります。オンスク.JPのFP2級講座でも最終章の6章で、11講義の構成です。前の5分野で時間を使い切り、相続は過去問を1周しただけで受検する人が出やすくなります。
学科での位置と目標点
日本FP協会の試験要綱によると、2級の学科試験は120分・60問の多肢選択式で、36点以上が合格です。出題は6分野にまたがり、相続・事業承継はそのひとつです。紙の試験だった時期の公開問題では、各分野10問ずつの構成が一般的でした。
相続・事業承継が10問前後なら、目標は6問です。4つのパートのうち、民法と相続税の計算で4問取れれば、残りは評価と贈与で2問拾えば届きます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 学科試験 | 120分・60問・多肢選択式・36点以上で合格 |
| 実施方式 | CBT(全国の会場で随時受検) |
| 法令基準日 | 2026年6月〜2027年5月の試験は2026年4月1日 |
| 2026年度の休止期間 | 12月28日〜1月5日、3月25日〜3月31日 |
(最終確認日:2026-09-30。試験の形式・休止期間は変更される場合があるため、受検前に日本FP協会または金融財政事情研究会の公式サイトで確認してください)
相続・事業承継を丸ごと捨てるのはおすすめしません。財産評価の路線価は不動産の分野と、死亡保険金の非課税はリスク管理の分野と重なります。実技試験でも、法定相続分や相続税の総額を求める問題が出ます。
4つに分けて覚える順番
最初に、相続・事業承継の論点を4つのパートに仕分けます。オンスク.JPのFP2級講座の講義名を当てはめると、次のようになります。
| パート | 含まれる論点 | 覚えるものの中心 |
|---|---|---|
| 民法 | 相続の開始と相続分・遺言・遺留分・相続放棄 | 誰が相続人か、割合、期限 |
| 相続税 | 課税財産と非課税財産・相続税の計算・申告と納付 | 基礎控除、非課税枠、計算の手順 |
| 贈与税 | 贈与の基礎知識・贈与税の計算・贈与の諸制度 | 110万円、2,500万円、年齢の条件 |
| 財産評価 | 不動産・金融資産・取引相場のない株式の評価 | 評価の式、株式の評価方式の選び方 |
問題を解く前に「どのパートの問題か」を先に決めると、使う数字の候補が絞れます。 法定相続人の数を問われたら、民法の問題か相続税の問題かを最初に確認してください。
覚える順番は、民法→相続税→贈与税→財産評価が進めやすいです。民法で相続人と割合を決めないと、相続税の計算に入れません。贈与税は、相続税との関係(生前贈与加算)がわかってから読むと理解が早くなります。財産評価は式が多いため、最後に表でまとめます。
パート1 民法は相続人と割合から
民法のパートでは、法定相続分の表を最初に固めます。配偶者は常に相続人で、ほかの血族には順位があります。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者 | 血族 |
|---|---|---|
| 配偶者と子(第1順位) | 2分の1 | 2分の1 |
| 配偶者と直系尊属(第2順位) | 3分の2 | 3分の1 |
| 配偶者と兄弟姉妹(第3順位) | 4分の3 | 4分の1 |
血族の取り分は、同じ順位の人数で等分します。父母の一方だけが同じ兄弟姉妹(半血)は、両方が同じ兄弟姉妹の2分の1です。
代襲相続は、相続人になるはずだった人が先に亡くなった場合などに、その子が代わって相続する仕組みです。子の代襲は孫、ひ孫と続きます。兄弟姉妹の代襲は、甥・姪の1代までです。相続放棄をした人の子は代襲相続しない点が、選択肢でよく問われます。
期限と手続きの数字
相続の手続きは、期限の数字を場面ごとに並べて覚えます。
| 手続き | 期限 | ポイント |
|---|---|---|
| 相続放棄 | 相続の開始を知った時から3か月以内 | 家庭裁判所に申述。1人でできる |
| 限定承認 | 同じく3か月以内 | 相続人全員が共同でする |
| 準確定申告 | 相続の開始を知った日の翌日から4か月以内 | 亡くなった人の所得税の申告 |
| 相続税の申告・納付 | 相続の開始を知った日の翌日から10か月以内 | 被相続人の住所地の税務署 |
「3・4・10」と数字だけ並べて覚えると、放棄と準確定申告が入れ替わります。**「放棄は裁判所で3か月、税金は税務署で4か月と10か月」**と、提出先とセットで言えるようにしてください。
遺言と遺留分
遺言は、自筆証書遺言と公正証書遺言の違いが中心です。自筆証書遺言は本文を自書する必要があります。財産目録はパソコンで作れますが、各ページに署名と押印が必要です。
自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が必要です。ただし、法務局の保管制度を使った場合は検認が不要になります。公正証書遺言は、証人2人以上が立ち会い、検認は不要です。
遺留分は、一定の相続人に最低限保障される取り分です。割合は2つだけ覚えます。
- 直系尊属だけが相続人の場合:財産の3分の1
- それ以外の場合:財産の2分の1
- 兄弟姉妹には遺留分がない
遺留分を侵害されたときの請求(遺留分侵害額請求)は、侵害を知った時から1年、相続開始から10年で請求できなくなります。
パート2 相続税は計算の手順で覚える
相続税のパートは、計算の手順を固定すると解けます。数字を単独で覚えるより、手順のどこで使う数字かを先に決めます。
- 課税価格を出す:相続財産+みなし相続財産-非課税財産-債務・葬式費用+生前贈与加算
- 基礎控除を引く:3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 法定相続分で分けたと仮定して税額を出し、合計する(相続税の総額)
- 実際に取得した割合で総額を分ける
- 2割加算や配偶者の税額軽減などで調整する
法定相続人の数の数え方
基礎控除と非課税枠で使う「法定相続人の数」は、民法とは数え方が違います。
- 相続放棄をした人も数に入れる
- 養子は、実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人まで数える
この2つだけで、法定相続人の数を問う問題の多くは解けます。放棄した人を外してしまうミスが最も多いため、問題文に「放棄」の文字を見たら手を止めてください。
非課税枠と税額の調整
死亡保険金と死亡退職金は、相続人が受け取った分について、それぞれ「500万円×法定相続人の数」が非課税です。相続人でない人が受け取った死亡保険金には、この非課税枠は使えません。
税額の調整で出るのは、次の2つです。
- 2割加算:配偶者と1親等の血族(子・父母)以外が財産を取得した場合、税額が2割増える。孫(代襲相続人を除く)や兄弟姉妹が対象
- 配偶者の税額軽減:配偶者が取得した財産が1億6,000万円か法定相続分のどちらか多い金額までなら、相続税がかからない
2割加算では、代襲相続人になった孫は対象外です。子の代わりに相続した孫は、子と同じ扱いになります。
パート3 贈与税は2つの制度を並べる
贈与税のパートは、暦年課税と相続時精算課税の2つを並べて比較すると覚えやすくなります。2024年1月以後の贈与から制度が変わっているため、古い過去問の数字には注意が必要です。
FP2級 | 相続・事業承継
暦年課税と相続時精算課税の違い
2024年1月以後の贈与に適用される内容です
| 毎年の控除 | 累計の控除 | 相続時の扱い | |
|---|---|---|---|
| 暦年課税 誰から誰への贈与でも使える | ○ 基礎控除110万円 | × なし | △ 死亡前の一定期間の贈与は相続財産に加算 |
| 相続時精算課税 60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫へ | ○ 基礎控除110万円 | ○ 特別控除2,500万円(超えた部分は20%) | △ 基礎控除を除いた贈与額を相続財産に加算 |
- ※○△×は「贈与を受ける側の税負担の軽さ」の目安です。相続時精算課税は一度選ぶと、同じ贈与者からの贈与について暦年課税に戻せません
コツコツ資格
2つの制度の両方に「110万円」があります。 暦年課税の110万円は受け取る人ごとに1年間の合計で使います。相続時精算課税の110万円は、相続時に加算されない点が特徴です。
生前贈与加算は3年から7年へ
暦年課税で受けた贈与のうち、亡くなる前の一定期間の分は相続財産に足し戻されます。国税庁のタックスアンサーによると、加算の期間は相続の開始日で次のように変わります。
| 相続の開始日 | 加算する贈与の期間 |
|---|---|
| 2026年12月31日まで | 相続開始前3年以内 |
| 2027年1月1日〜2030年12月31日 | 2024年1月1日から死亡の日まで |
| 2031年1月1日以後 | 相続開始前7年以内 |
延びた4年分(相続開始前3年より前の贈与)は、合計100万円まで加算されません。試験では「7年」と「100万円」の2つが問われやすい数字です。古い過去問やテキストは「3年以内」で書かれている場合があるので、受検期間に対応した年度版で確認してください。
贈与税の配偶者控除と特例税率
贈与の諸制度では、次の2つを押さえます。
- 贈与税の配偶者控除:婚姻期間20年以上の配偶者から、居住用不動産またはその購入資金の贈与を受けた場合、基礎控除110万円とは別に最高2,000万円を控除できる
- 特例税率:18歳以上の人が直系尊属(父母・祖父母)から受けた贈与は、一般税率より低い特例税率で計算する
特例税率の「18歳以上」と、相続時精算課税の受贈者の「18歳以上」は同じ年齢です。贈与者側の「60歳以上」は精算課税だけの条件なので、混ぜないようにします。
パート4 財産評価は式を表にする
財産評価のパートは、式を表に並べて白紙に書けるようにします。宅地の評価は、自分で使う土地を基準にして、貸している分を引くと考えます。
| 評価する財産 | 評価の式 |
|---|---|
| 自用地(自分で使う宅地) | 路線価×奥行価格補正率などの補正×地積 |
| 貸宅地(土地を貸している) | 自用地評価額×(1-借地権割合) |
| 貸家建付地(アパートの敷地) | 自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合) |
| 貸家(貸している建物) | 固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合) |
貸家建付地の式は長いですが、「自分で使えない割合を引く」と考えると組み立てられます。借家権割合は全国一律で30%です。
小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例は、面積と減額割合の表で覚えます。
| 宅地の区分 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|
| 特定居住用宅地等(自宅の敷地) | 330㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地等(店舗や工場の敷地) | 400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地等(アパートの敷地など) | 200㎡ | 50% |
「住む330・事業400・貸す200」と、区分と面積をセットで言えるようにします。 減額割合は貸付事業用だけが50%です。
取引相場のない株式の評価
事業承継の中心は、上場していない会社の株式の評価です。最初に「株を相続する人が同族株主等かどうか」で評価方式が分かれます。
- 同族株主等が取得した場合:原則的評価方式。大会社は類似業種比準方式、小会社は純資産価額方式、中会社は2つの併用
- 同族株主等以外が取得した場合:特例的評価方式(配当還元方式)
類似業種比準方式は、配当・利益・純資産の3つの要素を、同じ業種の上場会社と比べて評価します。細かい計算式より、どの方式を使うかの選び方が先に問われます。
4週間の立て直しスケジュール
相続・事業承継だけを立て直すなら、4週間が目安です。平日30〜45分、休日に1〜2時間を取れる社会人を想定しています。理解の速さには個人差があるため、進まない週は次の週に回してください。
| 週 | やること | 終わりの目安 |
|---|---|---|
| 1週目 | 4パートの仕分けと民法 | 法定相続分の表と、放棄・準確定申告・相続税申告の期限を何も見ずに言える |
| 2週目 | 相続税の計算手順 | 家族構成の図から、法定相続人の数と基礎控除額を出せる |
| 3週目 | 贈与税の2つの制度と生前贈与加算 | 暦年課税と相続時精算課税の違いを白紙に書ける |
| 4週目 | 財産評価と、分野別の過去問演習 | 分野別の問題で6割を超える |
2週目は、問題文の家族構成を必ず図に描いてから解いてください。相続人の数を頭の中だけで数えると、放棄した人や養子の扱いを落とします。
4週目の過去問演習では、間違えた問題の横に「どのパートか」を書き込みます。同じパートの間違いが続くなら、そのパートの表だけを作り直せば足ります。
独学で止まったときの選択肢
表を作っても相続税の計算の流れがつかめない場合は、講義動画で一度説明を聞く方法があります。家族構成の図から相続人を数える手順は、画面の図を見ながら聞くほうが早く理解できる人もいます。分野別の正答率が上がっている人には不要な出費です。
オンスク.JPは月額制のオンライン講座で、FP2級講座の相続・事業承継の章は11講義です。講義は贈与の基礎知識から始まり、相続の開始と相続分、相続税の計算、財産評価へと進みます。料金はウケホーダイ・ライトが月額1,078円(税込)、ウケホーダイ・スタンダードが月額1,628円(税込)です。
注意点もあります。講座ページに表示されている改訂日は2025年9月9日です。生前贈与加算の経過措置のように年ごとに扱いが変わる論点は、受検期間に対応した年度版テキストでも確認してください(最終確認日:2026-09-30)。
よくある質問
Q. 相続・事業承継は捨てても合格できますか
計算上は、ほかの5分野で36点を取れば合格できます。ただし、路線価は不動産の分野と、死亡保険金の非課税はリスク管理の分野と重なります。実技試験でも相続人と相続分の問題が出るため、民法と相続税の計算だけは押さえてください。
Q. 事業承継の株式評価まで手が回りません
時間がなければ、取引相場のない株式は「同族株主等は原則的評価、それ以外は配当還元方式」の1行だけ覚えてください。大会社・中会社・小会社の区分の細かい基準まで覚える必要はありません。民法と相続税の計算を先に固めるほうが点になります。
Q. 古い過去問は使えますか
民法の相続分や遺留分の問題は使えます。一方で、贈与税の相続時精算課税(2024年に基礎控除110万円を新設)と生前贈与加算の期間は、2023年以前の問題では扱いが違います。古い過去問で数字が合わないときは、年度版テキストの記述を優先してください。
Q. 不動産も苦手です。どちらから手を付けますか
先に不動産の価格(路線価・固定資産税評価額)を押さえると、相続の財産評価が楽になります。不動産の覚え方はFP2級の不動産が苦手|覚えられない数字を3つに分ける順番にまとめています。
まとめ
FP2級の相続・事業承継で押さえる点は4つです。
- 苦手の原因は暗記量ではなく、民法と相続税で同じ言葉の数え方が違うこと
- 論点を「民法」「相続税」「贈与税」「財産評価」の4つに分け、この順に覚える
- 法定相続人の数は、相続税では放棄した人も数え、養子は1人か2人まで
- 生前贈与加算は7年への移行期間中。古い過去問の「3年」は年度版テキストで確認する
次に過去問を解くときは、問題文の家族構成を図に描くところから始めてください。
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※本記事は情報提供を目的としたもので、試験の合格や学習の成果を保証するものではありません。試験制度・料金は変更される場合があるため、受験前に必ず公式サイトでご確認ください。