FP3級のライフプランニングが苦手|覚えられない人の4つの箱
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FP3級のテキストを開くと、最初の章がライフプランニングです。年金・健康保険・係数と話題が次々に変わり、1章目から頭に入らない。この記事は、そんな働きながら独学中の方に向けて書いています。
結論を先に書きます。ライフプランニングは「計算の型→6つの係数→社会保険→年金と教育資金」の4つの箱に分け、この順に進めると混ざりにくくなります。 日本FP協会の3級公開問題(2026年5月公表分)では、この分野が学科60問中10問、実技20問中5問でした。実技の5問は25点分にあたり、計算の型を覚えれば取りやすい問題が中心です。
本記事は独学の進め方を解説するもので、合格を保証するものではありません。年金の数字や試験制度は変わることがあるため、受検前に日本FP協会・きんざい・日本年金機構の公式サイトでご確認ください。
覚えられない原因は制度を章の順に読むこと
ライフプランニングで止まる一番の原因は、テキストの章の順に制度を1つずつ覚えようとすることです。この分野には、性格の違う3種類の問題が1つの章に入っています。
- 計算問題:キャッシュフロー表・バランスシート・係数
- 社会保険の問題:健康保険・介護保険・労災保険・雇用保険
- 年金と資金計画の問題:国民年金・厚生年金・企業年金・教育ローン
計算問題は式を1つ覚えれば何度でも使えます。一方で年金は数字の暗記が中心です。性格の違う問題を同じやり方で覚えようとすると、どれも中途半端に残ります。 先に計算の箱で点を確保し、暗記の箱は数字を絞って覚えます。
FP3級での出題数と目標点
日本FP協会の試験要綱によると、3級の学科はCBT方式で60問・90分、36点以上が合格です。実技(資産設計提案業務)は20問・60分で、100点満点の60点以上が合格です(最終確認日:2026-10-19)。
日本FP協会が公開している2026年5月公表分では、ライフプランニングの出題は次のとおりでした。
| 問題 | 問われた内容 |
|---|---|
| 学科 問1 | 投資助言を行うのに登録が必要か |
| 学科 問2 | 労災保険の保険料を誰が払うか |
| 学科 問3 | 学生納付特例の所得の判定 |
| 学科 問4 | iDeCoを一時金で受け取れるか |
| 学科 問5 | 中退共の掛金を誰が払うか |
| 学科 問31 | キャッシュフロー表の金融資産残高の式 |
| 学科 問32 | 介護保険の第2号被保険者の年齢 |
| 学科 問33 | 付加年金の金額 |
| 学科 問34 | 遺族厚生年金の額の割合 |
| 学科 問35 | 国の教育ローンの金利と返済期間 |
| 実技 問1 | FPがしてはいけない業務 |
| 実技 問2 | キャッシュフロー表の空欄 |
| 実技 問3 | バランスシートの純資産 |
| 実技 問4 | 係数を使った取り崩し額 |
| 実技 問5 | 健康保険の任意継続の条件 |
目標は学科10問中7問、実技5問のうち計算の3問は確実に取る、の2つです。 実技の問2〜4は資料の数字を式に当てはめるだけで、暗記の量はほとんどありません。
4つの箱に分けて覚える順番
最初にライフプランニング全体を4つの箱に仕分けます。
| 順番 | 箱 | 覚える中心 | 主な出題 |
|---|---|---|---|
| 1 | 計算の型 | FPの業務の線引き・CF表・バランスシート | 学科 問1・31、実技 問1〜3 |
| 2 | 6つの係数 | 求めたいものから係数を選ぶ | 実技 問4 |
| 3 | 社会保険 | 誰が払うか・何歳か・何日以内か | 学科 問2・5・32、実技 問5 |
| 4 | 年金と教育資金 | 年金の率と月数・教育ローン | 学科 問3・4・33〜35 |
計算の型を最初に置くのは、実技で毎回同じ形で出る得点源だからです。年金を最後に置くのは、数字が一番多く、ほかの箱が終わってから時間をかけるほうが残りやすいためです。
箱1 FPの業務と2つの表
FPがしてはいけない業務は、「資格がないとできないこと」の線引きで覚えます。
- 税理士でないFPは、個別の税額計算や税務書類の作成をしない(無償でも不可)
- 弁護士でないFPは、報酬を得て代理人として法律事務をしない
- 金融商品取引業の登録がないFPは、投資顧問契約に基づく助言をしない
- 一般的な制度の説明や、ねんきん定期便を使った年金の見込み額の計算はできる
2026年5月公表分の実技問1では、弁護士でないFPが報酬を得て遺産分割の代理人になった例が「不適切」の答えでした。専門家を紹介して業務を委ねるのは問題ない、という選択肢との区別がポイントです。
キャッシュフロー表は、次の2つの式で解けます。
- 金融資産残高=前年末の金融資産残高×(1+運用利率)+当年の年間収支
- 変動率のある項目=基準年の金額×(1+変動率)の経過年数乗
学科問31では、この残高の式そのものが問われました。実技問2では、前年末の残高837万円、運用利率1%、年間収支67万円から残高を出す空欄がありました。837×1.01+67で912.37となり、万円未満を四捨五入すると912万円です。選択肢の904万円が誤りでした。
バランスシートは「純資産=資産の合計-負債の合計」の引き算1回です。実技問3では、預金や有価証券に加えて、生命保険を解約返戻金相当額の80万円で資産に入れる点がポイントでした。資産合計5,480万円から住宅ローン2,800万円を引き、純資産は2,680万円です。生命保険は保険金額ではなく解約返戻金で計上する、と覚えておくと迷いません。
箱2 6つの係数は求めたいもので選ぶ
係数は名前から覚えると混ざります。「今あるお金」「将来のお金」「毎年のお金」のどれから、どれを求めるかで選びます。
| 求めたいこと | 使う係数 |
|---|---|
| 今のお金が将来いくらになるか | 終価係数 |
| 将来の目標額のために今いくら必要か | 現価係数 |
| 毎年積み立てると将来いくらになるか | 年金終価係数 |
| 将来の目標額のために毎年いくら積み立てるか | 減債基金係数 |
| 毎年いくら受け取るために今いくら必要か | 年金現価係数 |
| 今のお金を毎年いくらずつ取り崩せるか | 資本回収係数 |
実技問4は、800万円を年利2.0%で運用しながら5年間で均等に取り崩す問題でした。今のお金から毎年の取り崩し額を求めるので資本回収係数を使い、800万円×0.21216で169万7,280円です。資料には終価係数と減債基金係数も並んでいたため、「今→毎年」なら資本回収と1行で判断できるかが分かれ目でした。
覚え方は、ペアで押さえるのが早道です。終価と現価、年金終価と減債基金、年金現価と資本回収が、それぞれ逆の計算になっています。
箱3 社会保険は誰が払うかで分ける
社会保険は、まず「保険料を誰が払うか」で分けると問題文の正誤が判断しやすくなります。
- 労災保険:保険料は全額を事業主が負担する(学科問2で○)
- 中小企業退職金共済:掛金は全額を事業主が負担し、従業員に負担させられない(学科問5で○)
- 健康保険・厚生年金:会社と従業員で半分ずつ負担する
次に年齢と日数を覚えます。介護保険の第2号被保険者は、40歳以上65歳未満の医療保険加入者です(学科問32)。65歳以上は第1号被保険者です。
退職後の健康保険の任意継続は、実技問5の正解の組み合わせで覚えます。
- 退職前に健康保険の被保険者期間が継続して2カ月以上ある
- 退職日の翌日から20日以内に申し出る
- 任意継続の被保険者でいられるのは最長2年間
「2カ月・20日・2年」と2が3つ並ぶと覚えると、30日や3年の選択肢に引っかかりにくくなります。
箱4 年金と教育資金は率と月数
年金は数字が多いので、3級ではまず次の6つに絞ります。
| 論点 | 覚える数字 |
|---|---|
| 繰上げ受給 | 1カ月につき0.4%減(昭和37年4月2日以降生まれ) |
| 繰下げ受給 | 1カ月につき0.7%増、75歳まで(増額は最大84%) |
| 付加保険料 | 月400円 |
| 付加年金 | 200円×付加保険料を納めた月数 |
| 遺族厚生年金 | 老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3 |
| 学生納付特例 | 学生本人の前年の所得だけで判定する |
日本年金機構によると、繰上げの減額率は昭和37年4月1日以前生まれの人は1カ月0.5%です。3級の問題は現行の0.4%で問われることが多いため、まず0.4%と0.7%を対で覚えます。
付加年金は「400円払って200円もらう」と覚えます。学科問33では200円が正解でした。学生納付特例は世帯主の所得を問わない点が出題の型で、学科問3の「本人および世帯主」は誤りの文でした。所得で判定するのは学生本人だけです。
確定拠出年金のiDeCoは、老齢給付金を年金ではなく一時金で受け取ることもできます(学科問4で○)。受け取り方を選べる点だけ押さえれば、3級では足ります。
教育資金は、国の教育ローン(教育一般貸付)の3つの数字を覚えます。日本政策金融公庫の案内によると、融資の上限は350万円(一定の要件に当てはまる場合や海外留学は450万円)で、金利は固定金利です(最終確認日:2026-10-19)。返済期間は、学科問35の正解で最長20年でした。**「固定金利・最長20年・上限350万円」**の3点をセットにします。
3級で後回しにしていい範囲
独学の時間が限られている人は、次の論点を後回しにして構いません。2級で深く問われる範囲で、3級では名前と大まかな意味が分かれば足ります。
- 老齢厚生年金の報酬比例部分の計算式
- 在職老齢年金の支給停止の計算
- 住宅ローンの借換えの細かい条件や、フラット35の融資条件の細部
- 遺族基礎年金の子の加算額の金額
- 雇用保険の基本手当の給付日数の一覧
後回しにする論点を先に決めると、残った数字を覚える余地ができます。 過去問で後回しにした論点が出ても、その1問は落としてよいと割り切ります。所得税との関わりはFP3級のタックスプランニングの記事で整理しています。
働きながら2週間で立て直す計画
平日30分・休日1時間半を想定した、ライフプランニングだけを立て直す2週間の目安です。理解の速さには個人差があるため、進まない日は次の日に回してください。
| 期間 | やること |
|---|---|
| 1〜2日目 | 箱1。FPができないこと4つと、残高の式を白紙に書く |
| 3〜4日目 | 箱1。CF表とバランスシートの実技問題を3問ずつ解く |
| 5〜6日目 | 箱2。6つの係数の表を再現し、係数の問題を5問解く |
| 7〜8日目 | 箱3。誰が払うか・40歳と65歳・2カ月と20日と2年を書く |
| 9〜11日目 | 箱4。年金の6つの数字と教育ローンの3点を白紙に書く |
| 12〜14日目 | ライフプランニングの過去問を通しで解き、間違えた問題を4つの箱に振り分ける |
過去問は日本FP協会のサイトで公開されている問題のほか、無料の過去問サイトでも分野別に解けます。使い方はFP3級は過去問だけで受かるかの記事で詳しく書いています。
古い回の過去問は、繰下げの上限が70歳だったころの内容など、改正前の扱いで書かれている場合があります。数字が合わないときは、受検期間に対応した年度版テキストを優先してください。
独学で止まったときの選択肢
係数の表を作っても、どの数字を掛ければよいか分からない場合は、講義の動画で一度説明を聞くほうが早いことがあります。CF表の変動率の計算も、文字だけのテキストで止まりやすい論点です。
オンスク.JPは、FP3級・FP2級の講座を月額制で見られるオンライン資格講座です(2026-09-17に公式サイトの講座一覧でFP2級・3級の提供を確認)。ライフプランニングの章だけ動画で確認したい人は、必要な期間だけ使う形にできます。一方で、テキストと過去問で正答率が上がっている人には不要な出費です。
広告 / PRよくある質問
ライフプランニングを捨てても受かる?
学科は6分野の合計で36点を取れば合格なので、計算上は不可能ではありません。ただし、公開問題では学科で10問、実技でも5問出ています。実技の計算3問は暗記が少ないため、捨てるのは損です。
係数の数字そのものは覚える?
覚える必要はありません。係数の数値は問題の資料に表で載っています。覚えるのは「どの場面でどの係数を使うか」だけです。
年金の金額(満額)は覚えるべき?
老齢基礎年金の満額は毎年度改定されるため、3級ではまず率と月数の6つを優先します。満額が問われた場合に備えるなら、受検期間に対応した年度版テキストの数字で覚えてください。
FP2級のライフプランニングとはどこが違う?
2級は在職老齢年金や老齢厚生年金の計算など、3級で後回しにした範囲まで問われます。3級の4つの箱が固まっていれば、2級はその上に積み上げる形で進められます。2級の進め方はFP2級のライフプランニングの記事にまとめています。
まとめ
- ライフプランニングは「計算の型→6つの係数→社会保険→年金と教育資金」の順に覚える
- CF表の残高は「前年末×(1+運用利率)+当年の収支」、純資産は資産から負債を引く
- 係数は名前でなく「今・将来・毎年」のどれからどれを求めるかで選ぶ
- 社会保険は誰が払うかで分け、任意継続は2カ月・20日・2年
- 年金は繰上げ0.4%・繰下げ0.7%・付加200円・遺族厚生4分の3から固める
ライフプランニングはテキストの最初の章なので、止まると全体が遅れます。今日は箱1の残高の式を白紙に書き、過去問のCF表を1問解くところから始めてみてください。
あわせて読みたい
参考にした情報
- 日本FP協会「2級・3級FP技能検定 試験要綱」・試験問題(2026年5月公表分)(問題数・合格基準・出題の形と正解。最終確認日:2026-10-19)
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」・「年金の繰下げ受給」・「付加保険料の納付」・「学生納付特例制度」(繰上げ・繰下げの率、付加年金、学生納付特例。最終確認日:2026-10-19)
- 日本政策金融公庫「教育一般貸付(国の教育ローン)」(融資限度額・金利の種類。最終確認日:2026-10-19)
※本記事は情報提供を目的としたもので、試験の合格や学習の成果を保証するものではありません。試験制度・料金は変更される場合があるため、受験前に必ず公式サイトでご確認ください。