FP3級のリスク管理が苦手|保険が覚えられない人の4つの箱
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FP3級のテキストでリスク管理まで進んだものの、保険の名前と数字が次々に出てきて頭に残らない。定期保険と養老保険の違いや、地震保険の割合を過去問のたびに忘れてしまう。この記事は、そんな働きながら独学中の方に向けて書いています。
結論を先に書きます。リスク管理は「保険のルール→生命保険→損害保険→第三分野と税金」の4つの箱に分け、この順に覚えると混ざりにくくなります。 日本FP協会が公開している3級の問題では、リスク管理は学科60問中10問、実技は保険証券の読み取りと必要保障額の2問でした。商品の細かい違いより、出題の形に合わせて覚えるほうが点になります。
本記事は独学の進め方を解説するもので、合格を保証するものではありません。税の数字や試験制度は変わることがあるため、受検前に日本FP協会・きんざい・国税庁の公式サイトでご確認ください。
覚えられない原因は商品名から覚えること
リスク管理で止まる一番の原因は、保険の商品名を1つずつ覚えようとすることです。テキストには定期保険・終身保険・養老保険・収入保障保険・個人年金保険などが続けて並びます。名前だけ覚えると、問題文で「どの保険の話か」は分かっても、何が問われているかが分かりません。
3級の問題で問われるのは、ほとんどが次の3種類です。
- 保険のルール:契約を取り消せる期間や、保険会社が破綻したときの補償
- 保険の形:いつ・何が起きたら・いくら支払われるか
- 税金:保険料を払ったときと、保険金を受け取ったとき
商品名より先に「この問題はルール・形・税金のどれか」を決めると、覚える量は同じでも迷わなくなります。
FP3級での位置と目標点
日本FP協会の試験要綱によると、3級の学科はCBT方式で60問・90分、36点以上が合格です。実技(資産設計提案業務)は20問・60分で、100点満点の60点以上が合格です(最終確認日:2026-10-18)。2026年6月以降の3級CBTは、法令基準日が2026年4月1日です。
日本FP協会が公開している「2026年5月公表分」の3級学科では、リスク管理は問6〜10の○×問題5問と、問36〜40の三答択一5問でした。テーマは次のとおりです。
| 問題 | 問われた内容 |
|---|---|
| 問6 | 契約者貸付で借りられる上限 |
| 問7 | 収入保障保険を一時金で受け取る場合の金額 |
| 問8 | 個人年金保険(確定年金)の支払条件 |
| 問9 | 火災保険で地震の倒壊が補償されるか |
| 問10 | 車両保険で洪水の水没が補償されるか |
| 問36 | 保険金を請求する権利の時効 |
| 問37 | クーリング・オフの期間と方法 |
| 問38 | 食中毒の賠償に備える保険の種類 |
| 問39 | リビング・ニーズ特約の余命の条件 |
| 問40 | 事業用建物の火災保険金の課税 |
同じ公表分の実技では、がん保険の保険証券から支払われる合計額を出す問題と、遺族の必要保障額を求める問題が出ています。リスク管理の目標は学科10問中6〜7問、実技の保険証券の計算は確実に取る、の2つです。
4つの箱に分けて覚える順番
最初にリスク管理全体を4つの箱に仕分けます。日本FP協会の3級の出題範囲は、リスクマネジメント・保険制度全般・生命保険・損害保険・第三分野の保険・リスク管理と保険・最新の動向の7項目です。この7項目を3級で問われる形に当てはめると、次のとおりです。
| 順番 | 箱 | 3級で覚える中心 |
|---|---|---|
| 1 | 保険のルール | 契約者保護・クーリング・オフ・時効 |
| 2 | 生命保険 | 3つの基本形と、主な特約 |
| 3 | 損害保険 | 火災・地震・自動車・賠償責任 |
| 4 | 第三分野と税金 | 医療・がん保険、控除、保険金の税金 |
ルールを最初に置くのは、数字が少なく短時間で得点源になるためです。税金を最後に置くのは、生命保険と損害保険の形が分かってからのほうが「誰が払って誰が受け取るか」を考えやすいためです。
箱1 保険のルールは3つの数字
保険のルールは、3つの数字を覚えれば3級の問題の多くに答えられます。
- クーリング・オフ:申込日か、撤回について書いた書面を受け取った日のいずれか遅い日から、その日を含めて8日以内。書面または電磁的記録で申し出る(保険業法)
- 時効:保険金を請求する権利は、請求できる時から3年で時効になる(保険法)
- 生命保険契約者保護機構:生命保険会社が破綻したとき、破綻時点の責任準備金等の90%まで補償される(高予定利率契約を除く)
2026年5月公表分の問37では、クーリング・オフの方法として「書面または口頭」が誤りの選択肢でした。口頭では撤回できないという1点を押さえておくと、この型のひっかけを避けられます。
責任準備金は「払った保険料の合計」とは違い、将来の保険金の支払いに備えて保険会社が積み立てるお金です。「保険料の90%が戻る」という覚え方は誤りなので、言葉を正確に覚えます。
箱2 生命保険は3つの形と特約
生命保険は、まず3つの基本形を「いつ支払われるか」で区別します。
| 基本形 | 死亡したとき | 満期まで生きたとき |
|---|---|---|
| 定期保険 | 期間中なら死亡保険金 | 何も支払われない |
| 終身保険 | 一生涯、死亡保険金 | 満期はない |
| 養老保険 | 期間中なら死亡保険金 | 死亡保険金と同じ額の満期保険金 |
収入保障保険は定期保険の仲間で、死亡保険金を年金の形で受け取ります。一時金で受け取ることもできますが、受取額は年金で受け取る総額より少なくなります(2026年5月公表分の問7で○)。
個人年金保険は、年金の受け取り方で3つに分けます。
- 確定年金:決めた期間は生死に関係なく支払われる。途中で亡くなれば遺族が受け取る
- 有期年金:決めた期間のうち、生きている間だけ支払われる
- 終身年金:生きている間、一生涯支払われる
問8は「確定年金は生きている場合に限り支払われる」という誤りの文でした。「確定」は期間が確定、「有期」は生存が条件と並べて覚えると区別できます。
特約と契約者の制度は、次の2つが出やすい論点です。
- リビング・ニーズ特約:余命6カ月以内と判断されたとき、死亡保険金の一部または全部を生前に受け取れる
- 契約者貸付:借りられる上限は解約返戻金の一定範囲内。死亡保険金額までは借りられない(問6で×)
箱3 損害保険は何を補う保険か
損害保険は、商品ごとに「何が補償されて、何が補償されないか」で覚えます。
火災保険は、地震・噴火・津波による損害を補償しません(問9で○)。地震に備えるには、火災保険に付ける地震保険が必要です。財務省の案内によると、地震保険の決まりは次のとおりです。
- 単独では入れず、火災保険とセットで契約する
- 保険金額は火災保険の保険金額の30〜50%の範囲。上限は建物5,000万円、家財1,000万円
- 損害の区分は4つ。支払いは保険金額の全損100%・大半損60%・小半損30%・一部損5%
隣の家からのもらい火は、失火責任法により、火元に重大な過失がなければ火元に賠償を求められません。自分の家は自分の火災保険で守る、というのが火災保険の問題の前提です。
自動車保険は、強制の自賠責保険と任意の自動車保険に分けます。国土交通省によると、自賠責保険の支払限度額は被害者1人につき次のとおりです。
| 損害 | 支払限度額 |
|---|---|
| 死亡 | 3,000万円 |
| 傷害 | 120万円 |
| 後遺障害 | 75万〜4,000万円(等級による) |
自賠責保険が補償するのは人身事故だけで、車や塀などの物の損害は対象外です。物の損害は任意保険の対物賠償で補います。車両保険は、洪水で車が水没した損害も補償の対象です(問10で×)。
賠償責任保険は、「誰が・何で・誰に」損害を与えたかで種類を選びます。
- 生産物賠償責任保険(PL保険):作った・売ったものが原因の事故。飲食店の食中毒もここ(問38)
- 施設所有(管理)者賠償責任保険:店舗や施設の不備が原因の事故
- 個人賠償責任保険:日常生活で他人にケガをさせた・物を壊した事故
箱4 第三分野と税金
第三分野は、医療保険・がん保険のように病気やケガに備える保険です。3級の実技では、保険証券を読んで受け取れる合計額を出す問題が出ます。
2026年5月公表分の実技問12は、がん保険の証券を読んで合計額を出す問題でした。被保険者ががんと診断されて24日入院し、手術を1回受けた後、交通事故で亡くなったという設定です。証券の支払条件を当てはめると、次の4つを足すことになります。
- がん診断給付金:100万円
- がん入院給付金:日額1万円×24日=24万円
- 手術給付金:入院給付金日額1万円×40倍=40万円
- 死亡給付金:がん以外の死亡なので日額の10倍=10万円
合計は174万円です。最後の死亡の原因が「がんかどうか」で倍率が変わるため、問題文の死因を最初に確認します。
税金は、保険料を払ったときの控除と、保険金を受け取ったときの課税の2つに分けます。国税庁によると、2012年1月1日以後に結んだ契約の生命保険料控除(所得税)は次のとおりです。
- 一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の3区分で、それぞれ最高4万円
- 3区分の合計は最高12万円
- 2026年分からは、23歳未満の扶養親族がいる人の一般生命保険料控除が最高6万円になる特例がある
地震保険料控除(所得税)は最高5万円です。3級ではまず「生命保険は1区分4万円・合計12万円、地震保険は5万円」の3つを固め、特例の扱いは受検期間に対応した年度版テキストで確認します。
死亡保険金の税金は、国税庁の表のとおり、被保険者・保険料を払った人・受取人の組み合わせで決まります。
| 被保険者 | 保険料を払った人 | 受取人 | かかる税金 |
|---|---|---|---|
| 夫 | 妻 | 妻 | 所得税(一時金なら一時所得) |
| 夫 | 夫 | 妻 | 相続税 |
| 夫 | 妻 | 子 | 贈与税 |
覚え方は「払った人が受け取れば所得税、払った人が亡くなれば相続税、3人とも違えば贈与税」です。損害保険では、火災保険の保険金や入院給付金は原則として非課税で、事業用の建物の火災保険金も非課税でした(問40)。所得税の流れはFP3級のタックスプランニングの記事で整理しています。
3級で後回しにしていい範囲
独学の時間が限られている人は、次の論点を後回しにして構いません。どれも2級で深く問われる範囲で、3級では名前と大まかな意味が分かれば足ります。
- 法人が契約する保険の経理処理(損金にできる割合など)
- 保険会社の健全性を示す指標の細かい基準
- 損害保険契約者保護機構の、保険種類ごとの補償割合
- 自動車保険の等級制度や、保険料の割引の細部
- 生命保険料控除の旧契約(2011年以前の契約)の計算
後回しにする論点を決めると、残りの数字が頭に入る余地が生まれます。 過去問で後回しにした論点が出ても、その1問は落としてよいと割り切ります。
実技の必要保障額は引き算1回
実技で出る必要保障額は、式を1つ覚えれば解けます。
- 必要保障額=遺族に必要な支出の総額-遺族の収入見込みの総額
支出には生活費・住居費・教育費などが入り、収入には遺族年金や配偶者の収入、死亡退職金などが入ります。問題の資料にある数字を支出と収入に振り分け、それぞれ足してから引きます。住宅ローンに団体信用生命保険が付いていれば、亡くなった後のローン返済は支出に入れないという扱いが、この型の分かれ目です。
働きながら2週間で立て直す計画
平日30分・休日1時間半を想定した、リスク管理だけを立て直す2週間の目安です。理解の速さには個人差があるため、進まない日は次の日に回してください。
| 期間 | やること |
|---|---|
| 1〜2日目 | 箱1。8日・3年・90%を白紙に書き、口頭ではクーリング・オフできないことを確認 |
| 3〜5日目 | 箱2。定期・終身・養老の表と、確定・有期・終身年金を再現する |
| 6〜8日目 | 箱3。地震保険の30〜50%と4つの損害区分、自賠責の3つの限度額 |
| 9〜11日目 | 箱4。死亡保険金の3人の表と控除の上限。保険証券の合計を3問解く |
| 12〜14日目 | リスク管理の過去問を通しで解き、間違えた問題を4つの箱のどこかに振り分ける |
過去問は日本FP協会のサイトで公開されている問題のほか、無料の過去問サイトでも分野別に解けます。使い方はFP3級は過去問だけで受かるかの記事で詳しく書いています。
古い回の過去問は、生命保険料控除やクーリング・オフの方法が改正前の扱いで書かれている場合があります。数字が合わないときは、受検期間に対応した年度版テキストを優先してください。
独学で止まったときの選択肢
表を作っても保険証券の読み方が分からない場合は、講義の動画で一度説明を聞くほうが早いことがあります。証券のどの欄を足すかは、文字だけのテキストで止まりやすい論点です。
オンスク.JPは、FP3級・FP2級の講座を月額制で見られるオンライン資格講座です(2026-09-17に公式サイトの講座一覧でFP2級・3級の提供を確認)。リスク管理の章だけ動画で確認したい人は、必要な期間だけ使う形にできます。一方で、テキストと過去問で正答率が上がっている人には不要な出費です。
広告 / PRよくある質問
リスク管理を全部捨てても受かる?
学科は6分野の合計で36点を取れば合格なので、計算上は不可能ではありません。ただし、公開問題ではリスク管理が学科で10問、実技でも2問出ています。箱1のルールと箱4の死亡保険金の表だけでも押さえるほうが安全です。
保険の仕事をしていないと不利?
不利にはなりません。3級で問われるのは、商品の基本の形と法律で決まった数字です。保険の営業で使う細かい商品知識は出ないため、テキストの表を白紙に再現できるかで差がつきます。
生命保険料控除の6万円は覚えるべき?
6万円は2026年分から始まった特例です。3級では、まず4万円・12万円の基本を固めます。法令基準日が2026年4月1日の試験で特例がどう扱われるかは、受検期間に対応した年度版テキストで確認してください。
相続税の非課税枠も覚える必要がある?
死亡保険金の「500万円×法定相続人の数」の非課税枠は、相続・事業承継の分野で問われます。リスク管理では、どの税金がかかるかまでを押さえれば足ります。非課税枠の覚え方はFP3級の相続・事業承継の記事にまとめています。
まとめ
- リスク管理は「保険のルール→生命保険→損害保険→第三分野と税金」の順に覚える
- 問題を読んだら、最初にルール・保険の形・税金のどれかを決める
- ルールは8日・3年・90%の3つ。クーリング・オフは口頭ではできない
- 地震保険は火災保険の30〜50%、上限は建物5,000万円・家財1,000万円
- 死亡保険金は、払った人と受取人と被保険者の組み合わせで税金が決まる
リスク管理で止まっても、残りは4つの箱に仕分けるだけです。今日は箱1の3つの数字を白紙に書き、言えるか試すところから始めてみてください。
あわせて読みたい
参考にした情報
- 日本FP協会「2級・3級FP技能検定 試験要綱」・試験日程・試験問題(2026年5月公表分)(問題数・合格基準・法令基準日・出題の形。最終確認日:2026-10-18)
- 国税庁「No.1140 生命保険料控除」・「No.1145 地震保険料控除」・「No.1750 死亡保険金を受け取ったとき」(控除の上限と保険金の課税。最終確認日:2026-10-18)
- 財務省「地震保険制度の概要」・国土交通省「自賠責保険・共済ってどんなもの?」・生命保険契約者保護機構 Q&A(地震保険・自賠責・破綻時の補償。最終確認日:2026-10-18)
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