FP3級の相続・事業承継が苦手|覚えられない人の4つの順番
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FP3級のテキストの最後の章、相続・事業承継で手が止まっている。相続人の順位や割合、期限の数字が多く、過去問を解くたびに混ざってしまう。この記事は、そんな働きながら独学中の方に向けて書いています。
結論を先に書きます。相続・事業承継は「相続人と相続分→相続税→贈与税→財産評価」の4つに分け、この順に覚えると混ざりにくくなります。 3級の学科は原則を問う問題が中心です。事業承継税制や株式の評価の細かい計算は、後回しにしても合格ラインの6割には届きます。
本記事は独学の進め方を解説するもので、合格を保証するものではありません。税の数字や試験制度は変わることがあるため、受検前に日本FP協会・きんざい・国税庁の公式サイトでご確認ください。
覚えられない原因は民法と税金の混在
相続・事業承継で止まる一番の原因は、民法のルールと税金のルールが1つの章に並んでいることです。民法は「誰が・どれだけ受け継ぐか」を決めます。相続税法は「いくら税金がかかるか」を決めます。
テキストを順に読むと、この2つが交互に出てきます。たとえば「法定相続人の数」は、民法と相続税の計算で数え方が変わります。
- 民法では、相続放棄をした人は最初から相続人ではなかったものとされる
- 相続税の基礎控除を計算するときは、放棄した人も法定相続人の数に入れる
問題を読んだら、最初に「民法の話か税金の話か」を決めます。 使う数字の候補が半分に絞れるので、混ざる回数が減ります。
FP3級での位置と目標点
FP3級の学科はCBT方式で、60問・90分・36点以上が合格です。実技は日本FP協会の場合、20問・60分で100点満点の60点以上が合格です(日本FP協会の試験要綱・最終確認日:2026-10-17)。
学科はライフプランニングから相続・事業承継までの6分野から出ます。相続・事業承継はテキストの最後の章にあることが多く、時間切れで手薄になりやすい分野です。
相続・事業承継を丸ごと捨てるのはおすすめしません。 理由は2つあります。
- 死亡保険金の非課税はリスク管理、路線価は不動産の分野と重なる
- 実技試験でも、法定相続人と法定相続分を答える問題が出やすい
目標は相続・事業承継の問題の6割前後です。4つのうち、相続人と相続分、相続税の2つを固めれば大半はカバーできます。
4つに分けて覚える順番
最初に章全体を4つに仕分けます。3級で押さえる中身だけを並べると、次のとおりです。
| 順番 | パート | 3級で覚える中心 |
|---|---|---|
| 1 | 相続人と相続分 | 相続人の順位・法定相続分・遺言・遺留分・相続放棄 |
| 2 | 相続税 | 基礎控除・死亡保険金の非課税・配偶者の税額軽減・申告期限 |
| 3 | 贈与税 | 暦年課税の110万円・相続時精算課税・配偶者控除 |
| 4 | 財産評価 | 路線価の考え方・小規模宅地等の特例 |
順番1 相続人と相続分
最初は民法のルールから入ります。相続税も贈与税も、誰が相続人かが決まらないと計算できないためです。
相続人は、配偶者が常に相続人になり、ほかの親族は次の順位で相続人になります。
- 第1順位:子(子が先に亡くなっていれば孫が代わりに相続する)
- 第2順位:父母などの直系尊属
- 第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、その子=甥・姪まで)
法定相続分は、配偶者と誰が組むかで3パターンだけです。
| 組み合わせ | 配偶者 | ほかの相続人 |
|---|---|---|
| 配偶者と子 | 2分の1 | 2分の1 |
| 配偶者と直系尊属 | 3分の2 | 3分の1 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 4分の3 | 4分の1 |
覚え方のコツは、配偶者の取り分が「2分の1→3分の2→4分の3」と順位が下がるほど増えると見ることです。ほかの相続人が複数いれば、その取り分を人数で等分します。
遺留分は、一定の相続人に最低限残される取り分です。兄弟姉妹には遺留分がありません。遺留分全体の割合は、直系尊属だけが相続人なら3分の1、それ以外は2分の1です。
順番2 相続税
相続税は、3級では次の4つを言えれば足ります。
- 基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 死亡保険金と死亡退職金の非課税:それぞれ500万円×法定相続人の数(相続人が受け取った分)
- 配偶者の税額軽減:配偶者が取得した財産が1億6,000万円か法定相続分のどちらか多い金額までなら、相続税がかからない
- 申告期限:相続の開始を知った日の翌日から10か月以内
基礎控除の「法定相続人の数」に養子を入れるときは、実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人までです。民法では養子は何人でも相続人ですが、相続税の数え方には上限があります。 3級の○×問題では、この違いを突く選択肢がよく出ます。
順番3 贈与税
贈与税は、暦年課税と相続時精算課税の2つの制度を並べて覚えます。どちらにも「110万円」が出てくるため、制度ごとに分けないと混ざります。
FP3級 | 相続・事業承継
暦年課税と相続時精算課税の違い
2024年1月以後の贈与に適用される内容です
| 毎年の控除 | 累計の控除 | 使える人 | |
|---|---|---|---|
| 暦年課税 原則の制度 | ○ 基礎控除110万円 | × なし | ○ 誰から誰への贈与でも |
| 相続時精算課税 届出をして選ぶ制度 | ○ 基礎控除110万円 | ○ 特別控除2,500万円 | △ 60歳以上の親・祖父母から18歳以上の子・孫へ |
- ※○△×は「贈与を受ける側の税負担の軽さ」と「使える範囲の広さ」の目安です
- ※相続時精算課税は一度選ぶと、同じ贈与者からの贈与について暦年課税に戻せません
コツコツ資格
国税庁のタックスアンサーによると、相続時精算課税は特別控除2,500万円を超えた部分に一律20%の贈与税がかかります。年齢は、贈与者・受贈者とも贈与した年の1月1日時点で判定します。
暦年課税には、亡くなる前の一定期間の贈与を相続財産に足し戻すルールがあります。加算の期間は3年から7年へ段階的に延びている途中です。相続の開始日が2026年12月31日までなら3年以内で、2031年1月1日以後は7年以内になります(国税庁「No.4161」・最終確認日:2026-10-17)。
もう1つ覚えるのは、贈与税の配偶者控除です。婚姻期間20年以上の配偶者から、住む家やその購入資金の贈与を受けた場合、基礎控除110万円とは別に最高2,000万円を控除できます。
順番4 財産評価
財産評価は、3級では考え方だけで足ります。土地は路線価方式か倍率方式で評価し、市街地の土地には主に路線価方式を使います。
数字で覚えるのは、小規模宅地等の特例の2つです。
- 特定居住用宅地等(亡くなった人の自宅の土地):330㎡まで80%減額
- 貸付事業用宅地等(貸している土地):200㎡まで50%減額
取引相場のない株式の評価方式(類似業種比準方式など)や事業承継税制の細かい要件は、2級で深く問われる範囲です。3級では名前と大まかな目的を知っていれば、後回しにして構いません。
混ざりやすい期限の整理
相続・事業承継の期限は、数字だけで並べると覚えにくい論点です。相続が起きてからの時間の順に並べると、流れで覚えられます。
| 期限 | 手続き |
|---|---|
| 3か月以内 | 相続放棄・限定承認(家庭裁判所に申述) |
| 4か月以内 | 亡くなった人の所得税の準確定申告 |
| 10か月以内 | 相続税の申告と納付 |
起点は、いずれも「相続の開始があったことを知った日」です。3・4・10と数字が増えていく順に、手続きが重くなると覚えます。
贈与税の申告は別の流れです。贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに申告します。所得税の確定申告(原則2月16日から)と始まりの日が違う点は、○×で狙われます。
遺言は、自筆証書遺言と公正証書遺言の2つの違いを押さえます。自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要ですが、法務局の保管制度を使えば検認は不要です。公正証書遺言も検認は要りません。
独学で止まりやすい3つの点
独学の会社員が止まりやすいのは、制度の名前より「数え方の違い」です。
- 放棄した人の数え方:民法では相続人ではないが、相続税の基礎控除や死亡保険金の非課税の計算では数に入れる
- 養子の数え方:民法では何人でも相続人だが、相続税の計算では実子がいれば1人、いなければ2人まで
- 代襲相続の範囲:子の代わりは孫・ひ孫と下へ続くが、兄弟姉妹の代わりは甥・姪の1代まで
3つとも、問題文の一語で正解が変わるタイプです。過去問で間違えたら、どの数え方を取り違えたかを1行メモに残します。
働きながら2週間で立て直す計画
平日30分・休日1時間半を想定した、相続・事業承継だけを立て直す2週間の目安です。
| 期間 | やること |
|---|---|
| 1〜4日目 | 順番1。相続人の順位と法定相続分の3パターン。家系図を自分で描いて相続分を出す |
| 5〜7日目 | 順番2。基礎控除・死亡保険金の非課税・配偶者の税額軽減。放棄と養子の数え方 |
| 8〜10日目 | 順番3。暦年課税と相続時精算課税を白紙に書いて比べる |
| 11日目 | 順番4。路線価と小規模宅地等の特例の2つの数字 |
| 12〜14日目 | 相続・事業承継の過去問を通しで解き、間違えた問題を4つのどこかに振り分ける |
過去問は日本FP協会のサイトで公開されている問題のほか、無料の過去問サイトでも分野別に解けます。使い方はFP3級は過去問だけで受かるかの記事で詳しく書いています。
家系図は必ず自分の手で描きます。 問題文の家族構成を図にしてから相続人に丸を付けると、順位の取り違えが減ります。古い過去問の贈与の問題は、2024年の改正前の扱いで書かれている場合があります。数字が合わないときは、受検期間に対応した年度版テキストを優先してください。
独学で止まったときの選択肢
テキストを読んでも相続人の決め方が頭に描けない場合は、講義の動画で家系図を使った説明を見るほうが早いことがあります。
オンスク.JPは、FP3級・FP2級の講座を月額制で見られるオンライン資格講座です(2026-09-17に公式サイトの講座一覧でFP2級・3級の提供を確認)。相続の章だけ動画で確認したい人は、必要な期間だけ使う形にできます。一方で、テキスト1冊で進められている人や、通勤中に紙で読むほうが合う人には不要です。
広告 / PRよくある質問
相続・事業承継を全部捨てても受かる?
学科は6分野の合計で36点を取れば合格なので、計算上は不可能ではありません。ただし、ほかの5分野で高い正答率が必要になり、実技でも相続人と相続分の問題が出ます。順番1と順番2だけでも押さえるほうが安全です。
事業承継の範囲はどこまでやる?
3級では、事業承継税制や株式の評価方式の名前と目的が分かれば足ります。細かい要件や計算は2級で問われる範囲です。2級に進む人はFP2級の相続・事業承継の記事で続きを整理しています。
生前贈与加算は3年と7年のどちらで覚える?
受検期間に対応した年度版テキストの書き方に合わせます。制度としては7年への移行期間中で、相続の開始日が2026年12月31日までなら3年以内です。2031年以後の相続から7年以内になる流れを、1行で押さえておけば足ります。
相続税の計算問題は出る?
3級では、基礎控除の金額や非課税枠の金額を求める程度が中心です。相続税の総額を最後まで計算する問題は、2級で多く出ます。まずは基礎控除の式に法定相続人の数を当てはめる練習をします。
まとめ
- 相続・事業承継は「相続人と相続分→相続税→贈与税→財産評価」の順に覚える
- 問題を読んだら、最初に民法の話か税金の話かを決める
- 法定相続分は配偶者の取り分「2分の1→3分の2→4分の3」の3パターン
- 期限は3か月・4か月・10か月を相続が起きてからの流れで並べる
- 事業承継税制や株式評価の細部は3級では後回しでよい
テキストの最後の章で止まっても、残りは4つに仕分けるだけです。今日は自分の家族で家系図を描き、法定相続分を出すところから始めてみてください。
あわせて読みたい
参考にした情報
- 日本FP協会「2級・3級FP技能検定 試験要綱」(問題数・試験時間・合格基準。最終確認日:2026-10-17)
- 国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」(生前贈与加算の期間。最終確認日:2026-10-17)
- 国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」(適用要件・特別控除・税率。最終確認日:2026-10-17)
※本記事は情報提供を目的としたもので、試験の合格や学習の成果を保証するものではありません。試験制度・料金は変更される場合があるため、受験前に必ず公式サイトでご確認ください。