宅建・不動産

宅建の区分所有法は改正後で出る|決議要件の覚え方と1点

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区分所有法は、宅建の権利関係のなかでも数字の暗記で差がつく分野です。そこへ2026年4月1日、約24年ぶりの大きな改正が施行されました。「手元のテキストの数字は、そのまま覚えていいのか」と手が止まっている人もいるはずです。

この記事でわかることは3つです。

  • 令和8年度の宅建試験が、改正前と改正後のどちらの条文から出るのか
  • 改正で決議要件がどう変わったのか(条文ベースの一覧)
  • 残り期間で1点を取りにいくための覚え方と、時間のかけ方

最終確認日:2026-09-19

出題は改正後の区分所有法

令和8年度の宅建試験は、改正後の区分所有法に基づいて出題されます。根拠は2つあり、どちらも公式の情報です。

試験に出る法令の基準日

一般財団法人不動産適正取引推進機構は、試験の内容について「出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているもの」と示しています。つまり令和8年度試験の基準日は、2026年4月1日です。

改正法の施行日は2026年4月1日

改正法は「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第47号)です。法務省の案内では、区分所有法と被災区分所有法の改正部分は令和8年4月1日から施行されると書かれています。

e-Gov法令検索で条文を確認すると、区分所有法の現在施行されている版は2026年4月1日施行のものになっています。基準日の時点で改正法が動いている以上、令和8年度試験の出題範囲は改正後の条文です。

ただし、改正された論点が本番で実際に問われるかどうかまでは分かりません。出題内容は事前に公表されないためです。本記事は「改正後の条文で勉強しておけば取りこぼさない」という立場で書いています。

改正で変わった決議要件の一覧

改正前後の条文を並べると、変更点は次のとおりです。条文の番号は改正後のものです。

決議の種類改正前改正後(2026年4月1日〜)
普通決議(39条1項)区分所有者および議決権の各過半数出席した区分所有者およびその議決権の各過半数
共用部分の重大変更(17条1項)各4分の3以上(区分所有者の定数は規約で過半数まで減らせる)定足数を満たしたうえで、出席者の各4分の3以上(規約で2分の1超まで引き下げ可)
規約の設定・変更・廃止(31条1項)各4分の3以上定足数を満たしたうえで、出席者の各4分の3以上
大規模滅失の復旧(61条5項)各4分の3以上定足数を満たしたうえで、出席者の各3分の2以上
管理組合法人の成立(47条1項)各4分の3以上定足数を満たしたうえで、出席者の各4分の3以上
建替え決議(62条1項)各5分の4以上各5分の4以上(変更なし)
建替えの要件緩和(62条2項・新設)規定なし耐震性不足など5つの事由に当たれば各4分の3以上
瑕疵の除去・バリアフリー目的の共用部分の変更(17条5項・新設)規定なし4分の3が3分の2に下がる
所在等不明区分所有者(38条の2・新設)規定なし裁判により、決議の母数から外せる

表中の「定足数」は、条文では「区分所有者の過半数であって議決権の過半数を有するものが出席し」と書かれた部分です。集会に集まるべき人数の下限だと考えてください。

改正の芯は「母数が総数から出席者に変わった」ことです。 以前は全区分所有者の4分の3の賛成が必要でしたが、改正後は「まず過半数が出席し、その出席者の4分の3」に変わりました。欠席者が多いマンションでも決議が成立しやすくなる仕組みです。

建替え決議の5つの事由

62条2項で新設された緩和事由は、次の5つです。いずれも法務大臣が定める基準によります。

  1. 地震に対する安全性の基準に適合していない
  2. 火災に対する安全性の基準に適合していない
  3. 外壁や外装材が剝離・落下し、周辺に危害を生じるおそれがある
  4. 配管設備の劣化により、著しく衛生上有害となるおそれがある
  5. バリアフリー(建築物移動等円滑化)の基準に適合していない

5つを丸暗記するより、「古くて危ない・使いにくいマンションは、4分の3で建て替えられる」という筋で押さえるほうが本番で思い出せます。

決議要件の覚え方3ステップ

ステップ1 出席者ベースへの切り替え

最初にやるのは、頭のなかの前提の入れ替えです。「区分所有者および議決権の各◯分の◯」と暗唱していた人は、その前に「出席した」が付く形に上書きします。

上書きの対象は、普通決議・共用部分の重大変更・規約の設定変更廃止・大規模滅失の復旧・管理組合法人の成立です。逆に、建替え決議には「出席した」が付きません。この1点だけを例外として覚えます。

ステップ2 覚える数字は4つだけ

改正後も、登場する数字は4種類しかありません。

  • 過半数:普通決議。迷ったらここが基本
  • 3分の2:大規模滅失の復旧。瑕疵の除去とバリアフリー目的の共用部分の変更も
  • 4分の3:共用部分の重大変更、規約、管理組合法人。建替えの緩和後もここ
  • 5分の4:建替え決議(原則)

数字が大きくなるほど、区分所有者の財産への影響が重い決議だと考えると整理しやすくなります。普通の運営は過半数、建物のかたちを変えるなら4分の3、建物そのものを壊すなら5分の4という並びです。

ステップ3 建替えだけは別枠

建替え決議は3つの意味で特別です。まず、母数が出席者ではなく総数のままです。次に、5つの事由に当たると4分の3まで下がります。さらに、集会の招集通知は会日の2か月前までに発し、1か月前までに説明会を開く必要があります。

「建替えは重いから、母数も手続も厳しいまま」と紐づけて覚えると、ほかの決議と混ざりません。

間違えやすい3つの落とし穴

落とし穴1 古い教材の記述

2025年までに印刷されたテキストや問題集は要注意です。改正前の「区分所有者および議決権の各4分の3以上」が載っている可能性があります。奥付の発行年と、改正対応をうたう記載の有無を確認してください。

過去問も同じです。改正前の年度の問題は、正解の根拠が現在の条文と食い違う場合があります。解説に「令和8年4月1日施行の改正により〜」といった注記が入っているかを見て、入っていなければ自分で条文に当たるほうが安全です。

落とし穴2 定足数の見落とし

改正後の条文は「出席者の4分の3」だけでは完結しません。その手前に「区分所有者の過半数であって議決権の過半数を有するものが出席し」という条件が付いています。選択肢が定足数に触れずに「出席者の4分の3で決する」とだけ書いていれば、そこが誤りの作りどころになります。

落とし穴3 建替えを出席者基準と混同

改正で多くの決議が出席者基準になったため、建替えまで出席者基準だと思い込む取り違えが起きやすくなっています。62条1項の条文は「区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及び議決権の各五分の四以上の多数で」です。「出席した」は入っていません。

教材の改正対応が追いつかないとき

手持ちのテキストが改正前の記述で、買い直す時間もないという状況は起こり得ます。条文そのものはe-Gov法令検索で無料で読めるため、決議要件の条文だけを自分で読み直すのが最短です。

それでも独学で改正部分を追うのが不安なら、講座の力を借りる選択肢もあります。オンスク.JPは月額制のオンライン資格講座で、宅建講座が用意されています。

直前期の時間配分の目安

区分所有法は例年1問の出題です(出題数は年によって変わることがあります)。50問のうちの1問に、どこまで時間を割くかは方針を決めておくべきところです。

宅建 | 区分所有法の直前対策

区分所有法にどこまで手をかけるか

残り期間とほかの科目の仕上がりで選び方が変わります

準備の手間改正後の出題への対応力
手をつけない 1問を捨てる ○ 手間はかからない × 4択を勘で選ぶことになる
決議要件の数字だけ 直前期の最短ルート ○ 表1枚を覚えれば足りる △ 決議要件以外が出ると弱い
条文まで通して読む 時間に余裕がある人向け × ほかの科目の時間を圧迫する ○ どの角度から出ても対応しやすい
  • ※区分所有法は例年1問です。宅建業法や法令上の制限の仕上がりを優先してください

コツコツ資格

宅建業法が20問、法令上の制限が8問という配分を考えると、区分所有法に長時間を投じるのは合理的ではありません。改正の話題性に引きずられて権利関係だけを厚くすると、配点の大きい分野が手薄になります。

現実的な落としどころは、上の表の真ん中です。決議要件の一覧を1枚にまとめ、数字と母数(総数か出席者か)だけを反復します。所要はテキスト数ページ分に収まります。そのうえで余力があれば、所在等不明区分所有者の除外や管理に関する新しい制度に目を通す順番です。

よくある質問

改正前の過去問は使えるか

決議要件以外の論点なら使えます。専有部分と共用部分の区別、管理者の権限、規約の効力といった部分は改正の影響が小さいためです。決議要件が絡む肢だけは、現在の条文に当てて自分で正誤を付け直してください。

改正後の条文はどこで読めるか

e-Gov法令検索で「建物の区分所有等に関する法律」を開くと、現在施行されている条文が読めます。17条・31条・39条・61条・62条の5つに絞れば、読む量は多くありません。

建替えの5つの事由は覚えるべきか

余力があれば読んでおく、という位置づけで十分です。条文に列挙された5項目を正確に再現させる出題は、1問しかない分野では考えにくいためです。「耐震・耐火・外壁の落下・配管の劣化・バリアフリー」の5語だけ頭に残しておけば、肢の正誤判断には足ります。

区分所有法の改正はマンション管理士や管理業務主任者にも出るか

同じ法律を扱うため、影響は及びます。ただし試験ごとに出題基準日が異なる場合があります。併願する人は、それぞれの試験実施団体の公式案内で確認してください。

まとめ

令和8年度の宅建試験は、2026年4月1日施行の改正後の区分所有法から出題されます。押さえる順番は次の3つです。

  1. 母数が「総数」から「出席者」に変わった(建替え決議を除く)
  2. 数字は過半数・3分の2・4分の3・5分の4の4つだけ
  3. 建替えは5分の4が原則で、耐震性不足など5つの事由に当たれば4分の3

改正は範囲が広く見えますが、宅建で問われる決議要件に絞れば覚え直す量は表1枚分です。ここを手早く終わらせて、配点の大きい宅建業法に時間を戻してください。

手持ちの教材が改正に追いついているか不安なまま本番を迎えたくない人は、講座で決議要件を整理し直す方法もあります。

あわせて読みたい

参考にした情報

  • 一般財団法人不動産適正取引推進機構「試験の内容について」(出題法令の基準日・2026-09-19確認)
  • e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」(2026年4月1日施行版の条文・2026-09-19確認)
  • 法務省「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律について」(施行日・2026-09-19確認)

※本記事は情報提供を目的としたもので、試験の合格や学習の成果を保証するものではありません。試験制度・料金は変更される場合があるため、受験前に必ず公式サイトでご確認ください。