行政書士の商法・会社法は捨てる?独学の目標点と範囲
※本サイトの記事にはアフィリエイト広告(PR)を含む場合があります
※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。
行政書士試験の勉強がある程度進んでくると、多くの人が同じ壁にぶつかります。
「商法・会社法まで手が回らない。いっそ捨ててしまっていいのか」 「捨てろと言う人と、捨てるなと言う人がいて、どっちを信じればいいか分からない」 「やるとしても、どこまでやれば元が取れるのか」
商法・会社法は、行政書士試験のなかでもっとも「割に合わない」と言われる科目です。条文数は民法に迫るほど多いのに、配点は民法の4分の1程度しかありません。だから捨て科目候補の筆頭に挙げられます。
ただ、結論から言うと**「全部捨てる」と「全部やる」の二択で考えるのがいちばん損**です。この記事では、公式に公表されている配点と合格基準をもとに、独学で現実的な目標点をどこに置き、どの分野だけをやるべきかを整理します。本試験までの残り期間での回し方も具体的に書きます。
結論:全部捨てるより「2問取り」に絞るのが現実的
先に結論です。
- 完全に捨てるのは、他科目が仕上がりきっている人以外にはおすすめしない
- 独学の現実的な目標は「5問中2問」。3問取れれば十分すぎる
- やる範囲は、会社法の「設立」「機関」「株式」+商法の「商人・商号・商業登記・商行為」に絞る
- 最初に手を出す科目ではなく、行政法と民法が回り始めてから着手する後回し科目
理由はシンプルで、合格ラインまでの点数の作り方を逆算すると、20点をまるごと捨てた状態は「他でほぼ落とせない」状態になるからです。次の章で数字を見ていきます。
なお、ここで挙げた目標点はあくまで得点計画の目安です。得点の取り方には個人差があり、この配分にすれば合格できると保証するものではありません。
数字で確認:商法・会社法は300点中20点
まず、感覚ではなく公式の数字で全体像を押さえます。
参考までに直近の実施結果を挙げると、令和7年度の行政書士試験は受験者50,163人に対して合格者7,292人、合格率は14.54%でした(前年度の令和6年度は12.90%)。年度によって上下する試験なので、「何点取れば受かるか」ではなく「合格基準点をどう作るか」で考えるのが安全です。
以下は行政書士試験研究センターが公表している配点です(最終確認日:2026-08-23)。
| 科目 | 出題形式 | 出題数 | 満点 |
|---|---|---|---|
| 法令等 | 5肢択一式 | 40問 | 160点 |
| 法令等 | 多肢選択式 | 3問 | 24点 |
| 法令等 | 記述式 | 3問 | 60点 |
| 法令等(計) | — | 46問 | 244点 |
| 基礎知識 | 5肢択一式 | 14問 | 56点 |
| 合計 | — | 60問 | 300点 |
1問あたりの配点は、5肢択一式が4点、多肢選択式が8点(空欄1つにつき2点)、記述式が20点です。
そして合格基準点は、次の3つをすべて満たすことです。
- 法令等科目の得点が 122点以上
- 基礎知識科目の得点が 24点以上
- 試験全体の得点が 180点以上
(出典:行政書士試験研究センター「合否判定基準」/最終確認日:2026-08-23)
科目別の出題数
法令等の40問(5肢択一式)の内訳は、一般に次のように整理されます。
| 科目 | 5肢択一式 | 多肢選択式 | 記述式 |
|---|---|---|---|
| 基礎法学 | 2問(8点) | — | — |
| 憲法 | 5問(20点) | 1問(8点) | — |
| 行政法 | 19問(76点) | 2問(16点) | 1問(20点) |
| 民法 | 9問(36点) | — | 2問(40点) |
| 商法・会社法 | 5問(20点) | — | — |
商法・会社法の5問は、商法(総則・商行為)から1問、会社法から4問という配分の年が多い、というのが一般的な傾向として語られています。年度によって変動しうるので、固定の前提としては考えないでください。
20点を捨てるとどうなるか
300点満点で合格ラインは180点。商法・会社法をまるごと捨てると、残り280点で180点を取ることになります。必要な得点率は約64%です。
一方、商法・会社法で2問(8点)取れると、その分だけ他科目の許容ミスが増えます。たった8点と思うかもしれませんが、行政法の択一2問分、記述の半問弱に相当します。直前期に行政法の択一を2問上積みするより、商法・会社法で頻出分野だけ拾うほうが早い、というのがここでの発想です。
「捨てる」を3段階に分けて考える
捨てる/捨てないの二択ではなく、間を作ります。
行政書士 | 商法・会社法の扱い方
商法・会社法への3つの向き合い方
独学で現実的なのは「頻出分野だけ絞る」の真ん中です
| 学習にかかる負担 | 20点の取りこぼし | 行政法・民法への影響 | |
|---|---|---|---|
| 完全に捨てる 一切手をつけない | ○ 負担ゼロ | × 20点を最初から失う | ○ 時間を全部回せる |
| 頻出分野だけ絞る 設立・機関・株式+商法総則 | △ 範囲を絞れば軽くできる | △ 2問前後を狙える(確約はない) | ○ 影響は小さい |
| 5問すべて正面から 会社法を通しで学習 | × 範囲が広く重い | ○ 取りこぼしは減りやすい | × 演習量が削られやすい |
- ※得点の取り方には個人差があります。表は学習計画を立てるための整理であり、得点を保証するものではありません。
- ※行政法・民法が未完成のうちに「5問すべて」に着手すると、配点の大きい科目が薄くなります。
コツコツ資格
完全に捨てるが選択肢になるのは、行政法と民法と記述式がすでに安定していて、模試でも180点を安定して超えている人だけです。そこまで来ている人が最後の数週間を行政法の精度上げに使うのは、合理的な判断です。
逆に、まだ全体が仕上がっていない人ほど「完全に捨てる」は危険です。他科目が不安定なのに20点を放棄すると、合格ラインまでの余白がほとんどなくなります。
独学で2問を狙う「最低限の範囲」
絞り込みの方針は「毎年のように問われる中心分野だけをやる」です。
会社法:設立・機関・株式の3つ
会社法の出題は株式会社に関するものが中心で、なかでも株式会社の設立と機関(株主総会・取締役・取締役会・監査役など)は繰り返し問われる分野として知られています。ここに株式(株式の内容、譲渡制限、自己株式など)を加えた3分野が、費用対効果のいちばん高いところです。
具体的な進め方は次の通りです。
- テキストで設立・機関・株式の3分野だけを通読する(他の章は読まない)
- 過去問のうち、その3分野に該当する問題だけを解く
- 間違えた肢について、テキストの該当箇所に戻って確認する
- 2〜3周する
組織再編(合併・会社分割)、持分会社、社債などは、絞る側に回します。 出題されたらその1問は落とす、と割り切って構いません。5問全部を取りに行かないのが、この作戦の肝です。
商法:総則・商行為の基本用語
商法からの1問は、商人・商号・商業登記・商業使用人(支配人など)・商行為といった基本概念が中心です。条文知識をそのまま問う形が多く、範囲が狭いわりに得点しやすい部分です。
会社法よりこちらを先にやるほうが、時間対効果は良くなります。テキストの該当章はページ数も限られているので、直前期でも間に合います。
やらないと決めるもののリスト
絞るときは「やる範囲」より「やらない範囲」を紙に書き出すほうが機能します。手が止まったときに迷わなくなるからです。
- 組織再編(合併・分割・株式交換など)
- 持分会社(合名・合資・合同会社)
- 社債
- 会社法の細かい手続の期間・数字の暗記
これらを見て「本当に出ないのか」と不安になるかもしれませんが、出ないのではなく出ても取りに行かないと決めるという話です。ここを曖昧にすると、結局範囲が膨らみます。
本試験までの回し方(残り約11週間の例)
2026年度(令和8年度)の行政書士試験は、令和8年11月8日(日)午後1時から午後4時に実施されます。受験手数料は10,400円です(出典:行政書士試験研究センター/最終確認日:2026-08-23)。
この記事の公開時点(8月下旬)から本試験まではおよそ11週間です。商法・会社法をどこに差し込むか、時間配分の例を挙げます。あくまで一例で、進み具合によって前後させてください。
| 時期 | 商法・会社法の作業 | 他科目の主軸 |
|---|---|---|
| 8月下旬〜9月上旬 | まだ着手しない | 行政法の過去問、民法の総復習 |
| 9月中旬 | 商法(総則・商行為)を通読+過去問1周 | 行政法の精度上げ、記述対策の開始 |
| 9月下旬〜10月上旬 | 会社法の設立・機関・株式を通読+過去問1周 | 模試、記述対策 |
| 10月中旬 | 間違えた肢だけを2周目 | 模試の復習、基礎知識対策 |
| 10月下旬〜本試験 | 直前に1回だけ見返す(新しい範囲に手を出さない) | 行政法・民法の総まとめ |
ポイントは3つです。
- 9月より前には着手しない。 配点の大きい行政法・民法・記述が先です
- 1周目で完璧にしようとしない。 2周目は間違えた肢だけに絞る
- 10月下旬以降、新しい分野を足さない。 直前に会社法を広げると他科目の記憶が薄くなります
本試験当日の解く順番
商法・会社法は、問題番号としては択一の後半に配置されます。時間が押した状態で当たると、悩んで時間を溶かしがちな場所です。
分からない肢が2つ以上あったら、印をつけて飛ばす。 これを事前に決めておくと、記述式に回す時間を確保しやすくなります。1問4点の科目で5分悩むより、20点の記述に5分回すほうが期待値は高くなります。
つまずきポイントと、捨てるのが危ない人
つまずき1:民法と同じ勉強法をしてしまう
民法は理解と事例処理の科目ですが、会社法は制度と条文の科目です。理屈を追って納得しようとすると、途中で必ず止まります。「そういう制度になっている」と割り切って、条文の形で覚えるほうが早く進みます。
つまずき2:早い時期に手を出して沼にはまる
学習開始直後に会社法から入って挫折する人は少なくありません。範囲が広く、達成感が出にくいためです。後回しでいい科目という位置づけを最初に決めておくことが、実は最大の対策になります。
つまずき3:捨てたつもりで中途半端に見ている
「一応テキストは読んだ」という状態が、いちばん時間の無駄になります。やると決めた分野は過去問まで解く、やらないと決めた分野はテキストも開かない。この線引きをはっきりさせてください。
捨てるのが特に危ない人
- 記述式に不安があり、記述で点が読めない人(択一で余白を作る必要があります)
- 基礎知識(旧・一般知識)が安定せず、足切りラインぎりぎりの人
- 模試の総合点が180点前後で行ったり来たりしている人
このいずれかに当てはまるなら、20点をまるごと放棄するのはリスクが高い判断です。逆に、模試で安定して200点前後を出せているなら、完全に捨てて行政法に寄せる選択も十分あり得ます。
独学の進み具合に不安があるとき
ここまで「絞る」話をしてきましたが、そもそも行政法や民法が予定より遅れているという場合、商法・会社法の話は後回しです。優先順位を組み直すほうが先になります。
独学でつまずきやすいのは、内容そのものより「どこを削るか」の判断です。テキストは全範囲が同じ重さで書かれているので、独学だと軽重の判断材料が手に入りません。通信講座は、この優先順位づけとカリキュラムの順番をあらかじめ用意してくれる点が主な価値です。逆に言えば、自分で優先順位を決められている人にとっては、費用に見合わない場合もあります。費用は決して安くないので、残り期間と自分の進捗を見て判断してください。
広告 / PRよくある質問
Q. 商法・会社法を完全に捨てて合格した人はいますか
いる、という体験談は見かけます。ただしその多くは、行政法・民法・記述式が高い水準で仕上がっているケースです。**「捨てても受かる」ではなく「他が完成していれば捨てても届く」**という順序で理解してください。
Q. 5問中何問取れれば十分ですか
独学であれば2問(8点)を目安にすると計画が立てやすくなります。3問取れれば上出来です。5問すべてを狙う設計は、他科目の時間を削るため一般的にはおすすめされません。
Q. 会社法だけやって商法は捨てるのはどうですか
逆をおすすめします。商法(総則・商行為)は範囲が狭く、1問分の割に負担が軽い部分です。商法を先に、会社法は頻出3分野だけという順番のほうが、投入時間に対する見返りは大きくなります。
Q. 過去問は何年分やればいいですか
商法・会社法に限れば、絞った分野の問題だけを繰り返すほうが効果的です。年数を増やすより、同じ問題の間違えた肢を潰すことを優先してください。
Q. 記述式に商法・会社法は出ますか
記述式3問は、行政法から1問、民法から2問という構成が続いています。商法・会社法は択一式のみです。これも、深追いしなくてよい根拠のひとつになります。
まとめ
- 商法・会社法は300点中20点。捨てるか全部やるかの二択で考えない
- 独学の現実的な目標は5問中2問。3問取れれば十分
- やる範囲は商法の総則・商行為+会社法の設立・機関・株式に絞る
- 組織再編・持分会社・社債は、出ても取りに行かないと決める
- 着手は9月以降。行政法・民法・記述式が先
- 完全に捨ててよいのは、他科目が安定して仕上がっている人だけ
「捨てるかどうか」で悩んでいる時間そのものが、いちばんもったいない部分です。範囲を先に決めてしまえば、あとは淡々と回すだけになります。まずは商法(総則・商行為)のテキスト数ページから始めてみてください。ここは、今日からでも終わらせられる分量です。
あわせて読みたい
参考にした情報
- 一般財団法人 行政書士試験研究センター「令和8年度行政書士試験について」(試験日・受験手数料)
- 一般財団法人 行政書士試験研究センター「合否判定基準」(配点・合格基準点)
- 一般財団法人 行政書士試験研究センター「令和7年度行政書士試験実施結果の概要」(受験者50,163人・合格者7,292人・合格率14.54%)
※本記事は情報提供を目的としたもので、試験の合格や学習の成果を保証するものではありません。試験制度・料金は変更される場合があるため、受験前に必ず公式サイトでご確認ください。