簿記3級とFP3級はどっちが先?両方取る順番とスケジュール
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社会人の学び直しで、いちばん名前が挙がる資格が日商簿記3級とFP3級(3級FP技能検定)です。どちらも独学で狙えて、どちらも「取っておいて損はない」と言われる。だからこそ、こんなところで止まってしまう人が多くいます。
「両方いずれ取りたいけれど、どっちを先にすればいいのか分からない」 「同時にやったほうが早い気がするけれど、共倒れしそうで怖い」 「そもそも自分にどっちが向いているのか判断できない」
この記事では、両試験の公式情報(受験料・試験時間・合格基準・直近の合格率)を並べたうえで、順番を決めるための判断軸と、働きながら半年で両方に手を届かせるスケジュール例をまとめます。「どちらが偉いか」ではなく、「あなたの目的と生活時間ならどちらが先か」を決めるための記事です。
先に結論:迷ったらFP3級が先。ただし目的が経理なら逆
結論から言います。特に強い目的がなく「とりあえず学び直したい」ならFP3級が先が扱いやすい順番です。理由は3つあります。
- FP3級で扱うのは年金・保険・税金・住宅ローンなど生活で聞いたことがある話題が中心で、ゼロからでも入りやすい
- 合格率が高い水準で推移しており、最初の1つを取り切る成功体験を作りやすい
- 学科と実技に分かれているぶん、片方ずつ合格を積み上げられる
一方で、目的がはっきりしている人は逆順が合理的です。
- 経理・財務の仕事に就きたい、決算書を読めるようになりたい → 簿記3級が先
- 転職の応募要件や社内評価で簿記が指定されている → 簿記3級が先
- 家計・保険・老後資金など自分のお金の判断に使いたい → FP3級が先
「合格しやすいほうから」ではなく「使う予定があるほうから」。ここを取り違えると、取ったけれど使わない資格に時間を払うことになります。
数字で見る簿記3級とFP3級の違い
まず事実を並べます。すべて各試験団体の公表情報です(最終確認日:2026-08-19)。
| 日商簿記3級 | FP3級(日本FP協会) | |
|---|---|---|
| 試験方式 | ネット試験(CBT)は随時/統一試験は年3回 | CBT試験に完全移行(通年・休止期間あり) |
| 試験時間 | 60分 | 学科90分・実技60分 |
| 出題 | 商業簿記 3題以内 | 学科60問・実技20問(いずれも多肢選択式) |
| 合格基準 | 70パーセント以上 | 学科36点以上(60点満点)/実技60点以上(100点満点) |
| 受験料(税込) | 3,300円 | 学科と実技で8,000円(各4,000円) |
| 直近の合格率 | ネット試験 44.5パーセント(2026年4月〜6月・受験者64,183名/合格者28,546名) | 学科86.60パーセント・実技84.88パーセント(2025年10月〜2026年2月) |
※どちらもCBTの申込みには別途事務手数料がかかります。受験料・日程は変更される場合があるため、申込み前に必ず公式サイトでご確認ください。
数字だけ見るとFP3級のほうが合格率はかなり高く出ています。ただし、これは試験の性質が違うことによる差でもあります。FP3級は択一式で「知っているか」を問う比重が大きく、簿記3級は電卓を使って手を動かして解を出す技能試験です。単純に「FPのほうが簡単」と決めつけるより、タイプが違う試験と捉えるほうが計画を立てやすくなります。
なお、FP3級はきんざい(金融財政事情研究会)でも受検でき、実技の科目が異なります。この選び方はFP3級の実技はどれを選ぶ?きんざい・FP協会3種類の違いで詳しく整理しています。
順番を決める3つの判断軸
簿記3級 × FP3級 | 取る順番
3つの進め方を比べる
どれが正解かは、目的と確保できる勉強時間で変わります
| 最初のとっつきやすさ | 日程の組みやすさ | もう片方への効き方 | |
|---|---|---|---|
| FP3級 → 簿記3級 目的が定まっていない人向け | ○ 生活に身近な話題から入れる | ○ 通年CBTで自分の都合に合わせやすい | △ 仕訳は別分野として学び直しが必要 |
| 簿記3級 → FP3級 経理・会計が目的の人向け | △ 仕訳が初見で最初の山になりやすい | ○ ネット試験は随時受けられる | ○ 数字と電卓に慣れた状態でFPに入れる |
| 2つを同時並行 毎日2時間以上とれる人向け | × 覚える内容が一度に増えて散らかりやすい | △ 2つ分の予約と直前期を管理する必要 | ○ 税金・不動産など重なる話題は一度で済む |
- ※合格率はFP3級のほうが高い傾向ですが、出題形式が違うため単純な難易度比較ではありません
- ※同時並行は学習時間を確保できる人向けで、初学者の標準ルートとしてはおすすめしません
コツコツ資格
判断軸を言葉にすると、次の3つです。
軸1:資格を「何に使う予定か」
前述のとおり、これが最優先です。使う予定が近いほうを先に取れば、勉強中も内容が頭に残ります。使う予定がまったくないほうを先に取ると、覚えた内容は高い確率で抜けていきます。
軸2:数字と電卓への抵抗感
簿記3級は、仕訳という独自ルールを覚えて手を動かす試験です。ここでつまずく人は少なくありません(詳しくは簿記3級の仕訳が覚えられない人へ|丸暗記しない覚え方)。数字に強い抵抗があるなら、先にFP3級で「資格に受かる感覚」を作ってから簿記に向かうほうが続きやすくなります。
軸3:確保できる勉強時間
1日30分〜1時間しか取れないなら、1つずつ順番にが現実的です。2つを同時に走らせると、直前期の追い込みが2回同時に来て、どちらも中途半端になりやすくなります。逆に平日2時間・休日4時間を確保できるなら同時並行も選択肢に入ります。
働きながら半年で両方取るスケジュール例
どちらもCBTで日程を自分で決められるのが、この2資格を続けて取るときの最大の利点です。試験日が固定されていないぶん、自分で締切を作らないと延び続ける点にだけ注意してください。
以下は「FP3級 → 簿記3級」で組んだ半年の例です(平日1時間・休日2時間を想定)。
| 期間 | やること | ゴール |
|---|---|---|
| 1か月目 | FP3級のテキストを6分野1周(深追いしない) | 全体像をつかむ |
| 2か月目 | FP3級の過去問・問題集を回す/CBTを予約 | 合格ラインが安定 |
| 2か月目末 | FP3級CBTを受験 | 学科・実技を受け切る |
| 3〜4か月目 | 簿記3級のテキストを1周+仕訳を毎日10問 | 仕訳の型を体に入れる |
| 5か月目 | 過去問・模擬問題を時間を計って解く/CBTを予約 | 60分で解き切れる状態 |
| 5か月目末〜6か月目 | 簿記3級ネット試験を受験 | 2つ目を取り切る |
順番を入れ替える場合(簿記3級 → FP3級)も、先に来るほうに3か月、後に来るほうに2〜3か月という配分は同じです。簿記を先にすると、税金や不動産所得の話に触れた状態でFPに入れるため、後半が少し軽くなります。
予約は「勉強が終わってから」ではなく先に入れる
CBTでいちばん多い失敗が、受験日を決めないまま勉強期間が延びることです。テキスト1周が終わった時点で、3〜4週間先の日付を先に予約してしまうほうが、結果的に合格まで早く着きます。FP3級のCBTには年度末や年末年始などの休止期間があるため、その時期を狙う人は公式の試験日程を先に確認してください。
つまずきポイントと、人を選ぶ点
正直に書きます。この2資格の組み合わせは万人向けではありません。
- 簿記3級の仕訳は、最初の2週間がいちばんつらい。ここを越えられずに止まる人が一定数います。合格率がFP3級より低めに出ているのも、この壁があるためと考えられます。
- FP3級は範囲が6分野と広く、暗記量そのものは多い。合格率が高いからといって無勉強で受かる試験ではありません。
- 同時並行は、勉強時間が足りない人には逆効果。2つの直前期が重なると、どちらも仕上がらないまま本番を迎えることになります。
- 両方取っても、それだけで転職が決まるわけではない。3級はどちらも入口の資格です。実務経験や上位級(簿記2級・FP2級)とセットで評価される場面が多いと考えておくほうが現実的です。
逆に、この組み合わせが効くのは「お金まわりの土台を一通り作りたい人」です。FPで制度の全体像を、簿記で数字の作られ方を押さえると、家計でも仕事でも判断の材料が増えます。
独学が続くか不安な人の選択肢
ここまで独学前提で書いてきましたが、2つ続けて取り切るには、半年間モチベーションを保つ必要があるのも事実です。1つ目で止まってしまう人が多いのはこの点です。
映像講義とテキスト・問題集がまとまった教材は、「何から手をつければいいか分からない」「自分でスケジュールを引くのが苦手」という人には現実的な選択肢になります。簿記とFPの両方に対応した教材を選べば、2つ続けて取るときに学習環境を変えずに済みます。
もちろん、勉強習慣がすでにある人・費用を抑えたい人は独学で十分に狙えます。3級はどちらも市販テキストが充実しているため、独学が不利になりやすい試験ではありません。
よくある質問
Q. 本当に同時並行はダメですか? ダメではありません。毎日2時間以上を安定して確保できるなら選択肢になります。おすすめしないのは「1日1時間しか取れないのに2つ走らせる」ケースです。覚える対象が倍になるため、記憶が定着する前に次の分野に移ってしまいます。
Q. どちらのほうが履歴書で評価されますか? 職種によります。経理・会計・財務まわりの職種では簿記が指定されることが多く、保険・金融の営業ではFPが話題になりやすい傾向です。どちらも3級は入口という位置づけなので、評価を狙うなら2級まで見据えて順番を決めるほうが無駄がありません。
Q. 落ちたらどうなりますか? どちらもCBTのため、比較的短い間隔で再受験を検討できます(受験料は都度かかります)。FP3級は学科・実技のどちらかだけ合格した場合、一部合格として扱われる仕組みがあります。詳しい条件は公式で確認してください。
Q. 統一試験(ペーパー)とネット試験はどちらがいいですか? 簿記3級は、日程を自分で選べるネット試験のほうが社会人には組みやすい方式です。詳しくは簿記3級のネット試験(CBT)を独学で受ける完全ガイドにまとめています。
まとめ
- 目的がはっきりしていないならFP3級が先、経理・会計が目的なら簿記3級が先
- 判断軸は「使う予定」「数字への抵抗感」「確保できる勉強時間」の3つ
- 半年で両方は現実的なライン。ただし先に受験日を予約するのが最大のコツ
- 同時並行は時間を確保できる人向け。1日1時間なら1つずつ
- どちらも3級は入口。評価を狙うなら2級まで見据えて順番を決める
どちらを先にしても、半年後には「お金の話が前より分かる自分」になっています。順番選びで止まっている時間がいちばんもったいないので、この記事を読み終えたら、まず先にやるほうを1つ決めてしまうところから始めてみてください。
あわせて読みたい
参考にした情報
- 日本商工会議所「商工会議所の検定試験(簿記)」試験科目・注意事項/2級・3級受験者データ(ネット試験)
- 日本FP協会「2級・3級FP技能検定 試験要綱」
- 日本FP協会「FP技能士の取得者数及び試験結果データ」/「試験日程」
※本記事は情報提供を目的としたもので、試験の合格や学習の成果を保証するものではありません。試験制度・料金は変更される場合があるため、受験前に必ず公式サイトでご確認ください。