宅建と賃貸不動産経営管理士の併願|宅建後4週間の独学手順
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「今年は宅建に全力を注いでいる。でも、せっかく不動産の法令を詰め込むのだから、もう1つ資格を持ち帰れないだろうか」——そう考えて賃貸不動産経営管理士(賃管)が目に入った方に向けた記事です。
先に言ってしまうと、2026年の宅建(10月18日)と賃貸不動産経営管理士(11月15日)のあいだは、ちょうど28日=4週間です。そして本当の分かれ目は、その28日をどう使うかではありません。賃管の受験申込が9月30日で締め切られること、つまり宅建の直前期に入る前に決断が必要だという点にあります。この記事では、公式に公表されている2026年(令和8年)の日程をもとに、宅建の学習が効く範囲・効かない範囲を切り分け、働きながらの28日間の使い方を具体的に整理します。
本記事は特定の教材や講座の受講を保証・断定するものではなく、独学の進め方を客観的に解説するものです。試験制度・日程・受験料は変更されることがあるため、最終的には公式(一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会、一般財団法人 不動産適正取引推進機構、公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会)でご確認ください。
先に結論:4週間の勝負より、9月30日の申込のほうが先に来る
要点は4つです。
- 宅建の翌日から賃管本番までは28日(4週間)。短いですが、宅建の学習と重なる分野があるため、ゼロから200時間を積む必要はないとされます。
- 賃管の受験申込は8月3日から9月30日まで(WEB申込の場合)。宅建の本番より前に締め切られるので、「宅建が終わってから考える」では受験できません。
- 宅建の合格発表は11月25日で、賃管本番(11月15日)より後。自己採点の結果がどうであれ、走り続ける前提になります。
- 5問免除講習は、この記事の公開時点でまだ日程が残っている可能性がある(令和8年度は7月15日〜9月25日実施)。ただし満席の会場も出ているため、使うなら早い判断が要ります。
つまり9月中に、「申し込むか・免除講習を使うか」を決め切ってしまえば、あとは宅建に集中してよい、という設計になります。
2026年(令和8年)の日程と数字を押さえる
まず事実から確認します(最終確認日:2026-08-19。日程・料金は変わることがあるので、必ず公式で最新をご確認ください)。
| 項目 | 宅地建物取引士 | 賃貸不動産経営管理士 |
|---|---|---|
| 実施団体 | 一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | 一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会 |
| 試験日 | 令和8年10月18日(日)13:00〜15:00 | 令和8年11月15日(日)13:00〜15:00 |
| 出題形式 | 四肢択一・50問・2時間 | 四肢択一・50問・2時間(講習修了者は45問) |
| 申込(WEB) | 7月1日〜7月31日(終了) | 8月3日12:00〜9月30日23:59 |
| 申込(郵送) | 7月1日〜7月15日(終了) | 8月3日〜9月24日 当日消印有効 |
| 受験料 | 8,200円 | 12,000円+事務手数料400円 |
| 合格発表 | 令和8年11月25日(水) | 令和8年12月24日(木)予定 |
直近の結果も並べておきます。難易度の肌感をつかむためのものです。
| 年度 | 宅建の合格率・合格点 | 賃管の合格率・合格点 |
|---|---|---|
| 令和7年度 | 18.7%・33点(5問免除者は28点) | 29.5%・38点(5問免除者は45問中33点) |
| 令和6年度 | — | 24.1%・35点 |
| 令和5年度 | — | 27.9% |
注目してほしいのは、賃管の合格点が令和6年度の35点から令和7年度は38点へと3点上がっていることです。50問中38問正解、正答率にして76%が要求されました。「合格率が20%台後半あるから軽い試験」と考えると足をすくわれます。狙うのは合格点ちょうどではなく、40点前後と考えたほうが安全です。
なお令和7年度の賃管は、受験者約3万1,800人・合格者9,370人・合格者の平均年齢43.0歳でした。働きながら受ける人が中心の試験だと分かります。
宅建の知識はどこまで通用するか
賃管の出題範囲は、公式に次の6分野が示されています。
- 管理受託契約に関する事項
- 管理業務として行う賃貸住宅の維持保全に関する事項
- 家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理に関する事項
- 賃貸住宅の賃貸借に関する事項
- 賃貸住宅管理業法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)に関する事項
- 関連する実務に関する事項
このうち宅建の学習がそのまま効くのは、実質**4の賃貸借(民法の賃貸借・借地借家法)**に限られます。逆に言えば、それ以外はほぼ新規に覚え直しです。ここを甘く見積もると28日が足りなくなります。
宅建と賃管 | 学習範囲の重なり
宅建の知識が効く分野・効かない分野
4週間の時間配分を決めるための整理です
| 宅建の知識が効くか | 4週間で仕上げやすいか | |
|---|---|---|
| 賃貸借(民法・借地借家法) 正当事由・原状回復など | ○ 宅建で学んだ内容がほぼそのまま使える | ○ 過去問の確認中心で短時間で戻せる |
| 賃貸住宅管理業法・管理受託契約 サブリース規制を含む | × 宅建業法とは別の法律で、宅建では扱わない | △ 新規暗記だが範囲は限定的。最優先で着手 |
| 維持保全・建物設備 給排水・電気・消防など | × 宅建の「建物・土地」だけでは足りない | △ 暗記量が多く、後回しにすると詰まりやすい |
| 金銭の管理・関連実務 敷金・会計・保険・税金など | △ 一部は宅建や日常の知識で読める | ○ 過去問の反復で対応しやすい |
- ※分野ごとの出題数は年によって変動します。最新の傾向は必ずご自身の過去問集で確認してください。
- ※賃貸住宅管理業法は宅建業法とは別の法律です。宅建の感覚のまま解くと誤答につながることがあります。
コツコツ資格
特に注意したいのが賃貸住宅管理業法です。宅建業法の「35条書面・37条書面」の感覚で読むと、サブリース(特定賃貸借契約)の重要事項説明や誇大広告の規制は似て非なるルールなので、混同したまま本番を迎える事故が起きます。**「似ているから覚えやすい」ではなく「似ているから間違えやすい」**と考えて、対比表を作りながら進めるのがおすすめです。
もうひとつの山が維持保全・建物設備です。給排水・換気・電気・消防用設備といった、法律ではなく「モノ」の知識が問われます。一夜漬けが効きにくい分野なので、28日のうち早い週に着手するのが安全です。
5問免除講習という「もう一つの選択肢」
賃管には、**賃貸不動産経営管理士講習(5問免除講習)**という制度があります。修了すると、その年度と翌年度の試験で50問中5問が免除され、45問・110分の受験になります。
令和8年度の講習は7月15日から9月25日にかけて、全国47都道府県・135会場で実施されています。申込受付は5月18日に開始され、開始時点で満席になった会場も出ています。この記事の公開時点(2026年8月19日)ではまだ日程が残っている可能性がありますが、残席は会場ごとに異なるため、使うつもりなら真っ先に確認すべき項目です。
費用は実施団体によって異なりますが、公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会の案内では受講料18,150円(税込)に加えてテキスト代4,400円(税込)と案内されています(最終確認日:2026-08-19)。また修了の要件としておおむね2週間の事前学習と全講義の適正な受講が必要とされており、「当日行って座っていれば終わる」ものではない点は押さえておいてください。
効果をどう見るか。令和7年度の結果では、**全体の合格率が29.5%だったのに対し、5問免除者の合格率は36.6%**でした。ただしこれは「免除5問ぶんで差がついた」とだけ読むべきではありません。講習を受ける層には管理業務の実務経験者が多く含まれるとみられ、もともとの下地の差が数字に含まれている可能性があります。免除は保険であって、合格を保証するものではない——この温度感で判断するのが妥当です。
宅建の翌日から始める28日間の独学プラン
ここからが本題です。宅建をひととおり学習した人であれば、賃管に必要な追加学習は100時間前後という見方が多く見られます。28日で100時間は1日3.5時間の計算で、働きながらでは正直に言って厳しい水準です。そこで以下は週20時間・合計80時間前後を前提に、削るところを決めた設計にしています。
| 週 | 期間(2026年) | やること | 目安 |
|---|---|---|---|
| 第1週 | 10月19日〜10月25日 | 賃貸住宅管理業法・管理受託契約。テキストを通読しつつ、宅建業法との違いを対比メモにする | 20時間 |
| 第2週 | 10月26日〜11月1日 | 維持保全・建物設備。用語と数値を分野別過去問で叩く。ここが最も時間を食う | 22時間 |
| 第3週 | 11月2日〜11月8日 | 金銭の管理・関連実務(保険・税金・会計)+賃貸借の確認。賃貸借は宅建の記憶を戻すだけでよい | 20時間 |
| 第4週 | 11月9日〜11月15日 | 年度別過去問を2〜3年分通しで解き、時間配分を体に入れる。間違えた論点だけを繰り返す | 18時間 |
進め方のポイントを3つだけ。
- テキストの通読は第1週の1回だけにする。28日しかないので、2周目は「過去問で間違えた箇所を引く」形に切り替えます。読み直しは時間の消費が大きいわりに得点に直結しにくい作業です。
- 第2週の建物設備で心が折れやすい。ここは完璧を目指さず、過去問で繰り返し問われている設備・数値に絞ります。見たことのない用語をすべて潰そうとすると28日では終わりません。
- 第4週は必ず本番と同じ2時間で通す。50問120分は1問あたり2分24秒で、宅建と同じ感覚です。宅建直後なら時間感覚は残っているはずなので、それが消えないうちに固めます。
なお、宅建の直前期の詰め方については宅建 直前期(9月・10月)の過ごし方|独学の追い込み手順で別途整理しています。併願を決めても、10月18日までは宅建に全振りするというのが大前提です。賃管のテキストを9月に開き始めて宅建が落ちる、というのが最悪のパターンです。
つまずきポイントと、人を選ぶところ
正直に、うまくいきにくいケースも挙げておきます。
1. 申込を忘れる。 9月30日は宅建の直前期のど真ん中で、意識が完全に宅建に向いている時期です。カレンダーに入れるか、思い立った日に申し込んでしまうのが確実です。受験料12,000円+事務手数料400円は、宅建の8,200円より高い点にも留意してください。
2. 宅建の自己採点で心が折れる。 賃管本番の時点では宅建の合否は分かりません。自己採点がボーダー付近だと、10月19日からの4週間は精神的にかなりきついものになります。**「宅建がダメでも賃管が残れば来年が有利になる」**と考えられるかどうかが、この併願に向くかどうかの分かれ目です。
3. 「宅建より簡単だから」で舐める。 令和7年度の合格点は50問中38問。取りこぼしが4〜5問しか許されない試験だと考えると、決して軽い試験ではありません。
4. 合格しても、すぐには資格者証が出ない。 賃貸不動産経営管理士の登録には、管理業務の実務経験(2年以上)または実務講習の修了といった要件があります。実務経験がない方は追加の講習と費用が必要になるため、「合格=すぐ名乗れる」ではない点は先に知っておいてください(要件の詳細は必ず公式でご確認ください)。
逆に、この併願が向いているのは次のような方です。不動産管理会社・賃貸仲介の実務に就いている、あるいは就く予定がある方。宅建の学習で借地借家法にそれほど苦手意識がない方。そして10月18日から11月15日までの4週間、家庭や仕事の大きな予定が入っていない方。3つ目は精神論ではなく、単純に28日という枠の問題です。
独学で押し切るか、講座に頼るか
宅建後の4週間には、大きく3つの進め方があります。
賃貸不動産経営管理士 | 宅建後4週間の進め方
独学・5問免除講習・通信講座の比べ方
費用と時間、どちらを差し出すかの選択です
| 費用の軽さ | 4週間での扱いやすさ | 5問免除 | |
|---|---|---|---|
| 市販テキストと過去問だけ 完全独学 | ○ テキストと過去問集で概ね5,000円前後 | △ 捨てる範囲を自分で判断する必要がある | × 免除なし。50問・120分で勝負 |
| 5問免除講習+独学 講習は9月25日まで | △ 受講料とテキスト代で2万円台(団体により異なる) | △ 事前学習おおむね2週間と受講日1日が必要 | ○ 45問・110分で受験できる |
| 通信講座を使う 講義と教材がセット | × 数万円規模の出費になることが多い | ○ 出題範囲の絞り込みを任せられる | × 講座の受講だけでは免除にならない |
- ※5問免除講習の残席は会場ごとに異なります。申し込む前に必ず実施団体の最新情報をご確認ください。
- ※費用の目安は2026-08-19時点で公表されている情報にもとづくもので、実際の金額は各社・各団体の案内をご確認ください。
コツコツ資格
費用を最優先するなら独学、28日という枠のなかで「どこを捨てるか」の判断まで自分でやる自信がないなら通信講座、というのがおおまかな目安です。特に建物設備のように独学で沈みやすい分野を抱えている場合、講義で一度通してもらうほうが結果的に早いことがあります。来年以降の不動産系資格まで視野に入れている人は、費用とカリキュラムを見比べてみる価値があります。
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Q. 賃貸不動産経営管理士に受験資格はありますか? A. 制限はありません。年齢・学歴・実務経験を問わず受験できます。宅建の合否とも無関係です。ただし合格後の登録には実務経験などの要件があるため、詳細は公式でご確認ください。
Q. 宅建に合格していると、賃管の5問免除が受けられますか? A. 受けられません。賃管の5問免除の対象は「賃貸不動産経営管理士講習の修了者」です。宅建の合格や登録講習の修了は要件になりません。
Q. 5問免除の効力はいつまで有効ですか? A. 修了年度とその翌年度の2年間です。令和8年度の講習を修了した場合、令和8年度と令和9年度の試験で使えます。今年うまくいかなくても来年に持ち越せるのは、判断材料のひとつになります。
Q. 4週間で80時間は現実的ですか? A. 1日あたり平均約2.9時間の計算です。平日2時間・土日6時間ずつなら週22時間になるので、不可能な水準ではありません。ただし宅建直後で疲労が残っている前提を忘れないでください。到達度には個人差があります。
Q. 宅建のテキストは流用できますか? A. 賃貸借(民法・借地借家法)の部分は流用できます。ただし賃貸住宅管理業法、維持保全・建物設備、金銭の管理は宅建のテキストにほぼ載っていません。賃管専用のテキストと過去問集は別途必要です。
Q. 過去問は何年分やればよいですか? A. 28日という制約を踏まえると、分野別過去問集を1〜2周し、最終週に年度別で2〜3年分を通す形が現実的です。年数を増やすより、間違えた問題を繰り返すほうが効果が出やすいとされています。
Q. 宅建・賃管・管理業務主任者の3つを同じ年に受けるのはどうですか? A. 管理業務主任者は12月の実施なので日程上は可能ですが、宅建から連続で3つはかなりの負担です。まずは賃管に絞る判断が無難です。
まとめ:9月中に決める。走るのは10月19日から
宅建から賃貸不動産経営管理士への28日間は、確かに短いです。ただ、民法と借地借家法という一番重い荷物をすでに背負い終えた状態で走れる4週間でもあります。分かれ目になるのは勉強量よりも、9月30日までに申し込むこと、5問免除講習を使うなら残席があるうちに動くこと、そして11月25日の宅建の合格発表に振り回されずに走り切ることの3つです。
やることはシンプルです。9月中に申込を済ませ、賃管の過去問集を1冊だけ買って本棚に置いておく。10月18日までは開かない。翌日から、賃貸住宅管理業法と建物設備に向かう。それだけで、今年一度きりだったはずのチャンスが、11月15日にもう一度巡ってきます。今年積み上げた不動産法令の知識を、一番安く活かせるのがこの4週間です。ご自身の生活とよく相談したうえで、無理のない範囲で検討してみてください。
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※本記事は情報提供を目的としたもので、試験の合格や学習の成果を保証するものではありません。試験制度・料金は変更される場合があるため、受験前に必ず公式サイトでご確認ください。
参考にした情報
- 一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会(公式/令和8年度 試験実施要領・受験申込案内、令和7年度試験結果の概要)2026-08-19確認
- 一般財団法人 不動産適正取引推進機構(公式/宅建試験のスケジュール・令和8年度実施概要)2026-08-19確認
- 公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会(公式/令和8年度 賃貸不動産経営管理士講習〈試験の一部(5問)免除〉受講案内)および不動産専門紙の講習日程に関する報道 2026-08-19確認