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管理業務主任者の仕訳が苦手な人へ|簿記3級は必要か

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「管理業務主任者のテキストを順番に進めてきたのに、会計のページに入った途端に手が止まった」——独学で管理業務主任者(管業)を目指す人から、いちばんよく出てくるつまずきがここです。区分所有法も標準管理規約もなんとか読めた。なのに、借方・貸方と書かれた瞬間に何を問われているのか分からなくなる。簿記を勉強したことがない人ほど、この一箇所で急にペースが落ちます。

先に言ってしまうと、**この分野でつまずく原因のほとんどは「簿記の知識が足りないこと」ではなく、「テキストが簿記の説明を数ページに圧縮していること」**です。だから、簿記3級を一周してくるという解決策は、確かに効きますが、多くの人にとっては過剰です。この記事では、会計・仕訳が50問のなかでどういう位置づけなのかを確認したうえで、簿記3級まで戻るべき人・戻らなくていい人を切り分け、本番までの残り期間の使い方に落とし込みます。

本記事は情報の整理と学習法の解説であり、特定の教材や講座の効果、試験の合否を保証するものではありません。出題数・合格基準・日程は年度によって変わるため、最終的には公式(一般社団法人 マンション管理業協会)でご確認ください。

先に結論:仕訳2問のために簿記3級を一周する必要は、基本的にない

判断の要点は3つです。

  • 管業の仕訳は、例年2問とされています。会計・税務をあわせても50問中の数問で、合否を単独で決める分野ではありません。
  • 出題される取引の型が限られている。管理組合という1つの団体の、管理費・修繕積立金の入出金と修繕工事の支払いが中心で、商業簿記のように在庫や売上原価が出てくるわけではありません。過去問を回して型を覚えるほうが、費用対効果は高くなります。
  • ただし、「借方・貸方という言葉自体が意味不明」「増える・減るがどちら側なのか毎回迷う」段階の人は例外です。この場合は過去問の解説を読んでも理由が入ってこないので、簿記3級の入り口だけを借りてきたほうが早くなります。

つまり、**戻るかどうかを決めるのは「簿記を知っているか」ではなく、「過去問の解説を読んで理由が腹落ちするか」**です。まず過去問を数問解いて、解説が読めるかどうかを試す。判断はそこからで間に合います。

2026年(令和8年)の管理業務主任者試験の基本情報

先に日程と枠組みを固めておきます(最終確認日:2026-08-22。日程・料金・制度は変更されることがあるため、必ず公式でご確認ください)。

項目内容
実施団体一般社団法人 マンション管理業協会(国土交通大臣指定)
試験日令和8年12月6日(日)13:00〜15:00
出題形式四肢択一・50問(一部免除者は45問)
受験手数料8,900円(Web申込は別途 事務手数料297円)
申込(Web)8月3日10時頃 〜 9月30日16:59
申込(郵送)8月3日 〜 8月24日 当日消印有効
試験地北海道・宮城・東京・愛知・大阪・広島・福岡・沖縄および周辺地域
合格発表令和9年1月15日(金)

ここで先に手を打っておきたいのが申込です。郵送申込の締切は8月24日当日消印有効で、この記事の公開時点ではもう数日しか残っていません。Web申込は9月30日16時59分まで開いていますので、まだ迷っている人はWeb申込に切り替えて枠を確保するのが安全です。勉強の設計より先に、申込を終わらせてしまってください。

そして本番の12月6日まで、この記事の公開日から数えると約15週間です。会計が苦手だという自覚がある人でも、15週間あれば、この分野に振り回されずに済む余裕があります。

難易度の目安:合格率は20%前後

直近の実績として、令和7年度は受験者14,435人・合格者2,832人・合格率19.6%、合格基準は50問中36問以上(一部免除者は45問中31問以上)と公表されています。過去10年ではおおむね18〜23%台、合格基準点は33〜38点のあいだで推移してきたとされます(最終確認日:2026-08-22)。

ここから逆算すると、50問中36問前後=およそ7割強が目標ラインです。裏を返せば、14問前後は落としてよい試験でもあります。会計・仕訳を「絶対に落とせない分野」と思い詰める必要はありません。ただし後述するとおり、捨てるという判断もおすすめはしません。

会計・仕訳は50問のなかでどのくらいの重さか

過去問の分析としてよく示される分野構成は、次のようなイメージです(年度により変動します)。

  • 標準管理規約・標準管理委託契約書:10問前後
  • 建物の維持および修繕(設備):10問前後
  • 民法(契約・委託契約に関わるもの):8問前後
  • 区分所有法:5問前後
  • マンション管理適正化法:5問前後
  • 建築基準法:5問前後
  • 管理組合の会計:3問前後
  • その他の法令等(民事訴訟法・税法・個人情報保護法など):10問前後

このうち、受験者が「会計」と呼んでつまずくのは、管理組合の会計のなかの仕訳2問が中心です。税務や財務諸表の知識問題を足しても、会計・税務のまとまりは4問前後にとどまります。

重さで言えば、標準管理規約と設備のほうが圧倒的に大きい。ここが最初に押さえるべきバランス感覚です。会計で止まったまま3週間を溶かすと、10問ずつある2つの主戦場に手が回らなくなり、それこそが不合格の原因になります。会計に配分してよい時間の上限を先に決めてから着手する、という順番を強くおすすめします。

つまずきの正体は「簿記が分からない」ではなく「発生主義の読み替え」

管業の仕訳問題で問われるのは、管理組合の活動にともなって発生した収入と支出を、どの時点で・どの勘定科目で記録するかです。そして管理組合の会計では発生主義が採られます。つまり、現金が動いたときではなく、取引が発生したときに記録する、という考え方です。

この一点が飲み込めるかどうかで、体感の難易度が大きく変わります。

  • 修繕工事が完了した時点で、まだ支払っていなくても未払金と修繕費を計上する
  • 翌期分の管理費が先に入金されたら、収入ではなく前受金として扱う
  • 期日に入ってこなかった管理費は、未収金として残る
  • 先に払った保険料などは前払金として、期間に応じて振り分ける

頻出の勘定科目は、未収金・未払金・前受金・前払金の4つに集中しています。実際、管業の仕訳問題は「現金の動きと、記録すべきタイミングがズレている場面」を突いてくる出題がほとんどです。逆に言えば、この4つの科目と発生主義の考え方が身体に入れば、初見の問題でも解ける形になります。

ここでよくある間違いが、簿記の教材を最初から読み直すことです。簿記3級の教材は、商品売買・手形・減価償却・決算整理と広い範囲を扱いますが、管業で必要なのはそのごく一部です。必要なのは範囲の広さではなく、借方・貸方の左右が何を意味するかという、いちばん最初の10ページ分だったりします。

もし「借方・貸方の左右で毎回迷う」段階なら、簿記側の基礎の説明を借りるのは有効です。その入り口だけをさらいたい人は、簿記3級の仕訳が覚えられない人へ|丸暗記しない覚え方で扱っている「丸暗記に頼らない考え方」の部分だけを読むと、管業の解説が読めるようになることがあります。全範囲を一周する必要はありません。

3つの進め方を比べる

会計・仕訳への向き合い方は、実質的に次の3択です。

管理業務主任者 | 会計・仕訳の攻め方

仕訳2問への3つの進め方

残り期間と、いま自分がどの段階かで選び分けます

準備にかかる時間仕訳2問の取りやすさ他分野への影響
簿記3級を先に一周する 簿記の学習時間が別途かかる × 管業の学習に上乗せで必要 理屈から理解できる × 規約・設備の時間を圧迫
管業の過去問で型を覚える 未収金・未払金・前受金・前払金に集中 過去問の範囲に絞れる 出題の型が限られる 主戦場を削らずに済む
会計・仕訳を捨てる 他分野で上乗せする前提 時間はかからない × 最初から2問を手放す 他分野の失点余地が狭まる
  • ※出題数・合格基準は年度により変わります。最終的には公式の情報でご確認ください
  • ※簿記の取得も目標にしている人にとっては、「簿記3級を先に一周」はムダにはなりません

コツコツ資格

推奨は真ん中の**「管業の過去問で型を覚える」**です。理由は、出題される取引の型が管理組合の運営に限定されていて、繰り返し問われる論点が絞られているためです。

いっぽう、簿記3級を先に一周する価値があるのは、次のどちらかに当てはまる人です。

  • 借方・貸方という用語の段階で止まっていて、過去問の解説文が日本語として読めない
  • そもそも簿記3級も取るつもりがある(この場合は二度手間になりません。日商簿記3級のネット試験は随時受験できるため、管業の本番前後に組み込みやすいという事情もあります)

そして、「会計を捨てる」は最後の手段です。50問中36問前後という合格ラインに対して、最初から2問を諦めるのは、残りの48問で許される失点をその分だけ削ることを意味します。しかも仕訳は基礎的な出題が多い分野とされており、捨てるにはもったいない2問です。どうしても時間がないときの緊急避難と考えてください。

残り約15週間の組み立て方(働きながらの目安)

本番までを4つのブロックに割ると、会計の位置づけが決めやすくなります。以下は目安であり、学習の進み方には個人差があります。

第1ブロック(〜9月中旬・約4週間)|土台づくり 標準管理規約・区分所有法・民法という主戦場を優先します。会計はまだ触らなくてかまいません。この期間にやるべき会計関連の作業は、9月30日までにWeb申込を済ませることだけです。

第2ブロック(9月中旬〜10月中旬・約4週間)|会計に手をつける ここで初めて仕訳に着手します。手順は、①テキストの会計パートを読む→②過去問の仕訳問題を年度をまたいで10問前後まとめて解く→③解説を「なぜこの科目・このタイミングか」に絞って読む、の順です。まとめて解くのがポイントで、1問ずつ日をあけて解くと、型が見えてきません。ここで解説が読めなければ、簿記側の入り口に1週間だけ寄り道します。

第3ブロック(10月中旬〜11月中旬・約4週間)|設備と法令の詰め 建物の維持・修繕(設備)とその他の法令に時間を寄せます。設備は暗記量が多く、直前に詰め込みが効きやすい分野でもあるため、この時期からの投入が向いています。会計は週に1回、過去問を数問だけ触って感覚を落とさないようにします。

第4ブロック(11月中旬〜12月6日・約3週間)|総仕上げ 過去問を通しで解いて、時間配分を体に入れます。仕訳は本番で後回しにしてよい問題です。計算に時間を取られがちなので、解ける問題を一周してから戻る、という順番を決めておくと安全です。

平日に時間が取れない人は、第2ブロックの会計だけを土日に寄せる形でも成立します。会計は「毎日少しずつ」より「短期間に集中して型を掴む」ほうが向いている分野です。

つまずきポイントと、人を選ぶ点

  • 完璧主義が最も危ない。会計を完全に理解してから次へ、と決めると、10問ずつある標準管理規約・設備に手が回らなくなります。仕訳は2問です。
  • 簿記の資格対策と混同しない。簿記検定の出題範囲には、管業では問われない論点が多く含まれます。管業のために簿記の教材を使うなら、読む範囲を自分で絞る判断が必要です。
  • 独学が向かない人もいる。過去問の解説を読んでも理由が入ってこない状態が2週間続くなら、それは努力不足ではなく、解説の粒度が自分に合っていない可能性が高いです。動画や講義で説明を補うほうが、結果的に早く終わります。
  • マンション管理士試験の合格者は、5問免除の申請ができる。マンション管理適正化法に関する5問が免除され、45問での受験となります(試験時間の短縮と合格基準点の引き下げがあります)。該当する人は、申込時に申請欄へのチェックと合格番号の記入が必要なので、申込の段階で忘れずに手続きしてください(最終確認日:2026-08-22。制度の詳細は公式でご確認ください)。

独学で進めていて、会計だけがどうしても抜けないという段階なら、講義形式で説明を補うのはひとつの選択肢です。管理業務主任者を含む資格講座を扱う通信講座を、選択肢として見ておくのは無駄になりません。

よくある質問

Q. 簿記3級を持っていると、管業の会計は楽になりますか。 借方・貸方の考え方が身についている分、テキストの会計パートで止まりにくくなります。ただし管業で問われるのは管理組合の会計に特有の場面なので、簿記3級を持っていても、管業の過去問を解く工程は必要です。

Q. 仕訳は電卓なしで解けますか。 管理業務主任者試験では電卓の持ち込みは認められていません。計算が必要な場面もありますが、複雑な計算というより、金額をどこに振り分けるかの判断が中心です。過去問を解くときも、電卓を使わずに練習しておくのが安全です(持ち物の扱いは受験票・実施要領で必ずご確認ください)。

Q. 会計・税務のうち、税務の問題はどうすればいいですか。 税務は仕訳とは別の知識問題で、出題は1問前後です。仕訳の理解とは切り離して、過去問に出てきた論点を覚える形で十分に対応できます。ここに深入りするのは効率がよくありません。

Q. 宅建を受けた年に、管業も受けられますか。 2026年の宅建は10月18日、管業は12月6日なので、日程としては両立できます。ただし管業の申込は9月30日までなので、宅建の結果を見てから決めることはできません。併願の考え方は宅建と賃貸不動産経営管理士の併願|宅建後4週間の独学手順の設計がそのまま参考になります。

Q. 会計が苦手なままでも合格できますか。 合格基準は50問中36問前後で推移してきたため、計算上は会計を落としても届く余地はあります。ただし他分野での余裕が減るのは事実です。まずは「2問のうち1問は取る」くらいの現実的な目標から始めるのが、精神衛生上も進めやすいはずです。

まとめ:会計は、最後に回してよい2問

管理業務主任者の会計・仕訳は、独学者の心を折る割に、配点上の重さは大きくない分野です。だからこそ、順番を間違えないでください。

  1. まず9月30日までにWeb申込を済ませる
  2. 9月中旬までは標準管理規約・区分所有法・民法という主戦場に時間を使う
  3. 会計は9月中旬以降、過去問をまとめて解いて型を掴む
  4. 発生主義と、未収金・未払金・前受金・前払金の4科目に集中する
  5. 解説が読めない状態が続くなら、そのときに初めて簿記側の入り口を借りる

テキストの会計ページで止まってしまった経験は、独学者の多くが通る場所です。そこで止まったのは理解力の問題ではなく、順番の問題であることが少なくありません。順番を組み替えれば、12月6日までの15週間はまだ十分に足ります。

あわせて読みたい

参考にした情報

  • 一般社団法人 マンション管理業協会「試験」(令和8年度 管理業務主任者試験 実施要領・申込受付期間)
  • 公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会「令和8年度管理業務主任者試験 実施要領を公表」(試験日・試験地・受験手数料)
  • 各資格スクールが公表する令和7年度試験結果および分野別出題数の分析(合格率19.6%・合格基準36点・仕訳は例年2問)

※本記事は情報提供を目的としたもので、試験の合格や学習の成果を保証するものではありません。試験制度・料金は変更される場合があるため、受験前に必ず公式サイトでご確認ください。