簿記・会計

簿記の電卓 選び方と使い方|独学社会人がミスを減らすコツ

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「簿記の勉強を始めたけれど、電卓は家にある小さいもので大丈夫なの?」「メモリー機能って何に使うの?」——独学で簿記に挑む社会人が、テキストより先につまずきやすいのが電卓です。

簿記は知識を覚えるだけの試験ではありません。限られた時間内で、正確に、速く計算する試験でもあります。ここで電卓選びと使い方を間違えると、実力があっても本番でミスを重ねてしまいます。

この記事では、日商簿記3級・2級を独学で目指す社会人に向けて、電卓の選び方・持ち込みルール・メモリー機能の使い方・ミスを減らす練習法までを一気にまとめました。読み終えたときには「明日から何を使って、どう練習すればいいか」がはっきりしているはずです。

結論:電卓は「早めに1台を決めて、それだけを使い倒す」

先に結論をお伝えします。

  • 簿記用の電卓は、勉強を始めてすぐに1台を決めてしまうのがおすすめです。
  • 選ぶ基準は「12桁表示・大きめのボタン・メモリー機能とGT機能つき」の3つで十分です。
  • 高い電卓や多機能な電卓を買う必要はありません。大事なのは機種の値段より、1台を決めて使い込むことです。

なぜ「1台に決める」ことが大事かというと、電卓はメーカーによってキーの配置や操作の癖が違うからです。試験直前に別の電卓へ乗り換えると、指が覚えた動きが通用せず、それだけで計算スピードが落ちます。早い段階で相棒を1台決めて、本番までずっと同じものを使う——これが独学者が計算で損をしないいちばんの近道です。

簿記の電卓を選ぶ3つの基準

基準1:12桁表示のもの

簿記2級以上になると、金額の桁数が大きくなる問題が出てきます。桁数の少ない電卓だと、大きな数字を扱うときに表示しきれず、計算をやり直すことになりかねません。表示は12桁のものを選ぶと安心です。3級だけを受ける場合でも、後々2級まで見据えるなら最初から12桁にしておくと買い替えの手間がありません。

基準2:ボタンが大きく、押しやすいもの

長時間の演習では、ボタンの押しやすさが集中力とスピードに効いてきます。ボタンが小さすぎたり、間隔が詰まりすぎていたりすると、隣のキーを一緒に押す「打ち間違い」が増えます。手のひらより少し大きいくらいの、キーがしっかり離れて配置されているものが扱いやすいとされています。実物を触って選べるなら、指の太い方は特にキーの間隔を確認してみてください。

基準3:メモリー機能(M+・MR)とGT機能がついているもの

簿記の計算を速くするうえで欠かせないのが、後で解説するメモリー機能とGT機能です。ほとんどの実務向け電卓にはついていますが、100円ショップの簡易電卓などには無いこともあります。購入前にキーに「M+」「MR」「GT」があるかを確認しましょう。

カシオ派?シャープ派?——迷ったら「使い慣れたメーカー」を

簿記の定番電卓はカシオとシャープの2社に大きく分かれます。両者はメモリー呼び出しのキー名などが少し違うため、どちらが正解ということはなく、慣れているほう・周りで多いほうを選べば十分です。

簿記の電卓 | メーカー選び

カシオとシャープ、どちらを選ぶ?

機能はほぼ同等。操作の癖と慣れで選んで問題ありません

メモリー呼出キー桁数・機能選ぶ目安
カシオ系 MR/MC が独立 MR・MC が別キーで分かりやすい 12桁・GT付きの定番が豊富 職場や学校で見慣れているなら
シャープ系 RM/CM を使用 RM・CM でメモリー操作 12桁・GT付きの定番が豊富 事務職で普段使い慣れているなら
簡易・ミニ電卓 100均など × メモリーキーが無いことがある 桁数が少なく2級には不向き × 簿記の演習用としては避けたい
  • ※キー名はメーカーで異なります。どちらのメーカーでも簿記の学習・受験に必要な機能は揃います。

コツコツ資格

毎日長く付き合う道具なので、失敗したくない方は上の基準を満たした「簿記向け」と書かれた実務電卓から選ぶと外しません。

意外と大事:試験の電卓持ち込みルール

せっかく練習した電卓が本番で使えなかった、という事故は避けたいものです。日商簿記のネット試験・統一試験(ペーパー)では、使える電卓に制限があります。

一般に、次のような電卓は使用が認められていません(最新の扱いは受験前に必ず公式でご確認ください)。

  • 関数電卓(サイン・コサインなどの関数機能がついたもの)
  • プログラム機能・公式の記憶機能がついた電卓(売価計算・原価計算などを記憶できるもの)
  • 音(メロディー)が出る電卓
  • 印刷機能・辞書機能がついた電卓
  • スマートフォンやタブレットの電卓アプリ

逆に、四則演算とメモリー機能・GT機能程度の一般的な事務用電卓であれば問題なく使えるのが通常です。つまり、この記事で紹介している「簿記向けの実務電卓」を選んでおけば、ルール面で困ることはまずありません。

最終確認日:2026-08-15。 ネット試験の運用や持ち込みの細かい規定は変わることがあるため、申し込み後の案内や日本商工会議所の公式情報を必ず確認してください。

計算が速くなる:メモリー機能(M+・MR)の使い方

ここからが本題です。簿記の計算を速く・正確にする鍵がメモリー機能です。仕組みはシンプルで、慣れれば独学でも数日で身につきます。

メモリーキーの意味

  • M+(メモリープラス):いま画面に出ている計算結果を、メモリーに足し込むキー。押すたびに加算されていきます。
  • M-(メモリーマイナス):メモリーから引くキー。
  • MR(メモリーリコール):メモリーに貯めた合計を画面に呼び出すキー。(シャープ系では「RM」)
  • MC(メモリークリア):メモリーの中身を消すキー。(シャープ系では「CM」。MRとMCが1つになった「MRC」の機種もあります)

どう役立つのか

たとえば「A商品 単価200円×3個」「B商品 単価150円×4個」の合計を出す場面を考えます。ふつうに計算するとメモした数字を足し直す必要がありますが、メモリー機能を使えば——

  1. 200 × 3 を計算して M+
  2. 150 × 4 を計算して M+
  3. 最後に MR を押す

これだけで合計が一発で出ます。掛け算の結果を紙にメモして足し直す手間が消えるので、時間短縮とメモ書きのミス防止に直結します。簿記では「単価×数量を複数足す」場面が繰り返し出てくるため、この操作を体に覚えさせるだけで解答スピードが変わります。

使うときの鉄則:計算のはじめにメモリーを空にする

メモリー機能でいちばん多い事故が、前の計算の数字がメモリーに残っていて、答えがずれるというものです。新しい計算を始める前には、必ずMC(またはCM)でメモリーを空にする習慣をつけましょう。これを徹底するだけで、原因不明の計算ズレがぐっと減ります。

もうひとつの武器:GT(グランドトータル)機能

GTは「Grand Total=総合計」の頭文字です。「=」を押して出した答えを、電卓が自動でどんどん足し込んでくれる機能で、最後にGTキーを押すとその総合計が表示されます。

メモリー機能との違いは、M+を押さなくても「=」を押すだけで自動的に合計してくれる点です。「単純に、いくつかの計算結果を全部足したい」ときはGTのほうが手数が少なく済みます。

メモリーとGTの使い分け

  • 足すものだけを合計したい → GTが手軽
  • 足したり引いたり、途中で別の計算をはさむ → メモリー機能が向く

はじめは両方を無理に使い分けようとせず、まずはメモリー機能(M+・MR)を確実に、慣れてきたらGTも取り入れる、という順番がおすすめです。

社会人が計算ミスを減らす練習のコツ

電卓は知識ではなく「技術」なので、毎日の演習の中で自然に鍛えるのがいちばんです。特別な時間を取らなくても、次を意識するだけで変わります。

  • 利き手で打つ、ペンは反対の手に持つ:右利きなら右手で電卓、左手でペン。問題を目で追いながら打てるようになると速くなります。
  • 同じ機種を使い続ける:前述のとおり、乗り換えは遠回り。1台に絞りましょう。
  • 打ちながら画面を見ない練習を少しずつ:慣れてくると手元を見ずに打てるようになり、問題文と解答用紙に集中できます。最初は無理せず、確実さ優先で構いません。
  • 必ず検算する:一度で合わせようとせず、大事な数字は2回打って一致するか確かめる癖を。試験本番でも効きます。
  • 通勤時間などのスキマは知識、机に向かえる時間は電卓演習:働きながらの独学では、時間帯で「読む勉強」と「手を動かす勉強」を分けると効率的です。

電卓操作は、テキストを読むより後回しにされがちですが、合否を分けるのはむしろ本番での正確さとスピードです。早めに手を動かして慣らしておきましょう。

独学だけだと計算の型や解く順番に不安が残る、という方は、簿記・会計を体系立てて学べるeラーニングを併用する手もあります。スキマ時間中心で進めたい社会人に向いています。

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よくある質問(FAQ)

Q. 電卓はいくらくらいのものを買えばいい? A. 値段より「12桁・大きめボタン・メモリー/GTつき」を満たすかが大切です。実務向けとして売られている一般的な事務用電卓であれば十分で、極端に高価なものは必要ありません。

Q. パソコンやスマホの電卓アプリで練習してもいい? A. 普段の確認程度なら構いませんが、本番では電卓アプリは使えません。試験と同じ「物理の電卓」で練習しないと指が慣れないので、勉強用にも実物を1台用意しましょう。

Q. カシオとシャープ、独学者にはどっちがいい? A. どちらでも合格に必要な機能は揃っています。職場や身近で見慣れているメーカーを選び、以後は同じ機種を使い続けるのがおすすめです。

Q. 左利きだけど不利ですか? A. 不利ではありません。利き手で電卓を打ち、反対の手でペンを持つ形にすれば問題ありません。自分がやりやすい持ち方で、同じ形を繰り返し練習しましょう。

Q. 3級と2級で電卓を変えたほうがいい? A. 変える必要はありません。むしろ3級のうちから2級でも使える12桁の電卓に慣れておくと、級が上がってから買い替える手間や慣れ直しがなくスムーズです。

まとめ:電卓は「早く決めて、毎日さわる」

簿記の電卓選びと使い方を、独学社会人の目線でまとめました。

  • 選ぶ基準は 12桁・大きめボタン・メモリー/GT機能 の3つで十分。
  • 早めに1台を決めて、本番までずっと同じものを使うのが計算で損をしないコツ。
  • メモリー機能(M+・MR)は必須スキル。 計算前にMCで空にする習慣を。
  • 慣れたらGT機能も取り入れると、合計計算がさらに速くなる。
  • 電卓は知識ではなく技術。毎日の演習で自然に鍛えるのがいちばんの近道。

道具に振り回されず、相棒の電卓を1台決めてしまえば、あとは目の前の問題に集中できます。今日、手元の電卓に「M+」「MR」「GT」があるか、まず確認してみてください。

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※本記事は情報提供を目的としたもので、試験の合格や学習の成果を保証するものではありません。試験制度・料金は変更される場合があるため、受験前に必ず公式サイトでご確認ください。

参考にした情報

  • 日本商工会議所 簿記検定試験(公式・持ち込み可能な電卓の条件)
  • 各電卓メーカー(カシオ・シャープ)の取扱説明書によるメモリー・GT機能の説明